〝令和のタモリ〟へとひた走る麒麟・川島明 現代の『いいとも!』『タモリ倶楽部』が成立する理由
朝の帯番組『ラヴィット!』(TBS系)で司会を務め、『川島明の辞書で呑む』(テレビ東京系)も好評の麒麟・川島明。その立ち位置は、どことなく“令和のタモリ”を思わせる。番組の共通点や芸風の違いを見ながら、今なぜ川島が「タモリ的か」を考える。(ライター・鈴木旭) 【写真】川島明の愛犬のボストンテリア「松風」、相方の田村裕
『タモリ倶楽部』を思わせる番組
今年1月、4月の特番が好評を博し、5月16日から7週連続で放送されている『川島明の辞書で呑む』。タイトルに冠されている通り、この業界視聴率の高い“酒飲み教養番組”でMCを務めるのが麒麟・川島明だ。 特番では「あ」「い」、今回のシリーズでは「う」「え」「お」を放送。辞書に書かれた聞き馴染みのない言葉を想像し、専門家に解説を求め、各々がその意味から連想するエピソードを語り、言葉をアレンジして笑わせ、即興で歌ったりしながら居酒屋でワイワイガヤガヤと酒を飲む。 そんな中で川島は、ミュージシャンや作家、芸人など共演者たちの話に耳を傾け、実にスマートに場をさばいていく。例えば「【い】の回」で、マヂカルラブリー・村上が「石部金吉(いしべきんきち)」(生まじめすぎて、融通の利かない人。「石」や「金」のようにかたい、という意味)を取り上げ、同じように擬人化した名前を「ぜひ私につけていただいて」と共演者に水を向ける。 すると、川島が「M-1チャンピオン」「妻が元アイドル」「高円寺で敵なし」と特徴を挙げてほろ酔いとなった村上を気持ちよくさせ、最後に収録時に着用していたパーカーの太い紐に触れて「パーカーひも きしめん男」と言って落とす。 その後、別の案を求めるも、みなみかわはペンとホワイドボードを持ったまま微動だにしない。これを見た川島が、一つ前に登場した言葉「色消し」(せっかくそれまで感じていた面白味・情趣・色気をゼロにすること)を用いて「出た! スキル色消し」と言い放つなど、機転の利いたトークで場を沸かせた。 「【う】の回~後編~」で川島が「こういうことやりたかった。すごい僕、『タモリ倶楽部』好きなんで」と口にしていた通り、テーマに即した専門家、様々な分野のタレントを招いて展開されるアカデミックで自由度の高い企画は、まさに昨年4月に終了した『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)と相通じる。 そして同時に、川島が現在のバラエティーで“タモリ的なポジション”にいることを実感する番組でもあった。