<土屋太鳳>「本能的な母性をイメージして演じた」 新感覚サスペンス・スリラー「マッチング」
はい。最初は「知りたい」という気持ちから、だんだん「知りたくない」という気持ちになり、最終的に「知らなければならない」という気持ちになったと思うんですけど、「知らなければならない」という気持ちに切り替わる前には、絶望を感じたと思うんです。
私はなんとなく、人は絶望を感じると生き抜くために本能的になるような気がしていて、輪花の場合はその本能が、母性的な感覚を目覚めさせたんじゃないかなと感じます。この作品を演じていた当初は自分が誰かを育てるなんて想像もしていなかったけれど、今、実際に小さな命を育んでみて、輪花の中に本能的な母性をイメージして演じた解釈は、間違っていなかったような気がします。
--本作をどんな人に見ていただきたいですか? 見どころを教えてください。
20代に入る頃から、少しずつ人間関係の作り方が変わってくると思うんです。学校とか家族中心だったものが10代の間に少しずつ変化してきて、個人になって、そして社会に入って……という時期が20代に入る頃だと思うのですが、ある意味自由でもあるけれど、そのぶん孤独でもあるような時期だと思います。
私もその頃は何ともいえない不安を感じていました。人とどうつながるか、迷う時期だと思うので、20代に入るあたりから大人の方まで、いろいろな立場のかたに見ていただきたいです。
そしてぜひ、この作品を通して、人の本質を見つめることの大切さ、人間関係をつなぐことの大切さを 改めて見つめてほしいなと思います。マッチングアプリは今すごく身近な存在で、アプリをきっかけにいい関係を築けているかたもいらっしゃいますし、人と出会うツールが増えたという意味では とても良いことだと思うんです。
この作品が描いているのはマッチングアプリが良いか悪いかではなくて、人の本質をしっかり見て、丁寧につながるということが大事なのかもしれない、という投げかけなのかなと思います。見る人によって違う感想を持つ作品だと思うので、ぜひいろいろな感想を、SNSなどで教えていただけたらうれしいです。