自民党総裁選…徹底分析「候補者たちの夏」前編
9月に行われる予定の自民党総裁選。総裁の任期満了まで約3か月もある中、早くも「ポスト岸田」レースは熱を帯びている。実質、内閣総理大臣を選ぶ大事な戦い。日本テレビは、現時点で立候補に向けて動きのある人たちの最新状況を徹底分析します。 【世論調査】次の自民党総裁には誰がふさわしいか
注目① 岸田文雄(66)【出馬に意欲】
●最新コンディション 現職の総裁として再選を狙う岸田首相。首相側近は「総裁選に出ないことはあり得ない」と語る。7月の会見でも、総裁選に向けて「引き続き道半ばの課題について結果を出すよう努力する」と出馬に意欲を示した。首相周辺は出馬判断の時期について「8月の盆明けに最終判断となるだろう」と話している。
●ストロングポイント 首相側近議員は「ポスト岸田で有力候補がいない」と再選に向け自信をのぞかせる。さらに「派閥が解消され『岸田おろし』も大きなうねりにならない」とも話す。秋には新たな経済対策も打ち出す予定で、3年近くになる在任期間の実績をアピールし、政権継続を訴えていく方針。岸田首相としては最大の支援者である麻生副総裁の支持を取り付け、岸田派を中心に党内の支持を広げたい考え。
●ウィークポイント 最大の課題は低迷する内閣支持率。6月のNNNと読売新聞の世論調査では内閣支持率は23%と過去最低を更新した。衆議院選挙や来年の参議院選挙も視野に入る中、特に若手議員から「新しい選挙の顔が必要」といった声や、自民党幹部からでさえ「岸田首相では次の選挙は戦えない」という声が出ている。さらに菅前首相が「退陣論」を公然と発言するなど、党内では“岸田交代”を求める意見が広がりつつある。3年前、当時の菅首相は総裁選直前、立候補断念に追い込まれた。周辺からでさえ「最後は『岸田おろし』が強まり、不出馬に追い込まれるのでは」との不安の声もあがる。
注目② 茂木敏充(68)【出馬に意欲にじませる】
●最新コンディション 「首相になってやりたい仕事があるのは間違いない」繰り返しこう語る自民党ナンバー2の茂木幹事長。一方、出馬の決断については「夏の間に考えたい」と述べるにとどめている。茂木氏周辺が「岸田首相がどうするのか決めなければ動けない」と語るなど、裏切り者の「明智光秀」にならないよう出馬する好機を探る。 ●ストロングポイント 東京大学、ハーバード大大学院を卒業し、外資系コンサルタント会社などを経て、政界入りした茂木氏。当選10回を誇る政策通で、経済産業相や外相など重要ポストを歴任してきた。「TPP=環太平洋経済連携協定」の交渉をめぐっては、アメリカ側から「タフネゴシエーター(手ごわい交渉相手)」とも評された。アメリカ大統領選をめぐりトランプ前大統領の再選も取り沙汰される中、実務経験が豊富なことが最大の強み。さらに麻生派を率いる麻生副総裁との関係が良好なのも強みの一つだ。 ●ウィークポイント 最新の世論調査で「ポスト岸田」にふさわしい人物として茂木氏と答えたのはわずか1%。課題は知名度だ。周辺は「10年間1位だった石破さんが首相になっていない」と話し、深刻な問題ではないとの認識を示す。国会閉会後も、地方行脚やインターネット番組への出演などで知名度アップを狙う。さらに、国会議員の支持をどこまで得られるかも課題だ。派閥解消後、自身が会長を務める「茂木派」の若手・中堅議員のほか、安倍派の若手議員らとも食事を重ねるなど、支持拡大をはかっている。