【闘病】セカンドオピニオンで納得してたら… 「悪性リンパ腫」は5院目でやっと判明
電話で突然の告知
編集部: どのように告知されたのですか? RoMiさん: 生検手術から2週間後に、結果を聞くため受診予約をしていたのですが、その前日に主治医から電話がありました。「型(タイプ)がはっきりしないから、診察日を延ばしたい」とのことでした。悪性リンパ腫には型(タイプ)が数十種類あるようで、その型が判断できないということのようです。それまで「悪性リンパ腫疑い」としか聞かされていなかったのに、悪性リンパ腫という前提で話をされたので、この電話が私にとっての事実上の告知ということになりました。 編集部: どんな気持ちでしたか? RoMiさん: 「電話で告げるんだ……」と思ったと同時に、何を言われたのか理解できなかったというか、他人事のように主治医の話を聞いていました。ただ、その電話で、私が主治医に最初に質問したのが「私、髪抜けるんですか?」だったことははっきりと覚えています。 編集部: どんな病気なのでしょうか? RoMiさん: 悪性リンパ腫(型=T細胞/組織球に富むB細胞リンパ腫)。血液のがんです。まずは抗がん剤を6クール行い、その後、状況によって自家移植(造血幹細胞移植)も検討するということでした。ただ、年齢が30代と若かったので、体力的にも、再発防止のためにも自家移植はしたほうがいいとも説明されました。 編集部: そのときの心境について教えてください。 RoMiさん: 主治医と病院に任せようとしか考えていませんでした。主治医を信じようと思いました。ただ、抗がん剤に対する恐怖はありました。ドラマや映画で見る副作用のイメージがあまりにも強かったからです。 編集部: 実際の治療はどのようにすすめられましたか? RoMiさん: 2019年4月~2020年1月の間に、R-CHOP療法(抗がん剤治療)+髄注(4回)→自家移植→放射線治療(22回)を行いました。
便失禁、おむつ… これががん治療のリアル
編集部: 治療中、何か印象的なエピソードなどあれば教えてください。 RoMiさん: 自家移植での長期入院中にお漏らしをしてしまったことです。大量の抗がん剤を投与したので、副作用もかなり大変でした。連日、腹痛(腸炎も)と下痢で、それに耐えるのに精一杯でした。すぐ横にある洗面台に行くのも、つらかったです。そして、ちょっと居眠りして、目覚めたら便失禁していました。パジャマや下着はなんとか着替えられたのですが、シーツも汚れてしまっていて、そのまま寝るにも不衛生ですし、仕方なくナースコールを押しました。よりによってその日の担当が男性看護師さんで、恥ずかしいのと、お漏らしした自分にショックというのも重なって、本当に嫌でした。でも、その男性看護師さんは何事もなかったように気遣ってくれて、素早く対応してくださり、看護師さんのすごさを改めて感じました。その日からしばらく「おむつ生活」になりました。今だから話せる内容ですが、これも治療の現実です。 編集部: 嘔吐や脱毛はどうでしたか? RoMiさん: 吐き気止めのおかげか、嘔吐は1度もありませんでした。脱毛は抗がん剤治療の1クール目が終わった頃から始まりました。最初から覚悟はしていて、予めヘアドネーションをして短髪にしていたこともあり、抜けてからはむしろ、ウィッグやターバン、スカーフなどで、普段できないスタイルを楽しんでいました。それが治療中のモチベーションアップにも繋がったと思います。 編集部: 病気の前後で変化したことを教えてください RoMiさん: 人生、普通に過ごせることが何より幸せだと感じるようになりました。そして、いままで無意識にしていたことを一つひとつ意識するようになりました。 編集部: 今までを振り返ってみて、後悔していることなどありますか? RoMiさん: 食事に気をつけていればよかったとか、空気のいい場所で過ごしていればよかったとか、適度に運動していればよかったとか、ストレスになることを避ければよかったとか、考えたらキリがありません。でも正直、病気になるのは運もあると思います。私は飲酒も喫煙もしませんので。逆に、セカンドオピニオンで安心してしまって、検査をストップしていたら今ごろどうなっていたのだろうと、たまに思うことがあります。私は5か所目の医療機関でがんと分かりましたので、病気になってよかったなんて1mmも思いませんが、自分の体に対する直感を信じたことはよかったと思います。 編集部: 現在の体調や生活はどうですか? RoMiさん: 更年期障害のような症状がありますが、それほど酷くはありません。1年程前までは風邪を引きやすかったり、帯状疱疹になったり、めまいを起こしたりと、免疫力がまだまだ低かったみたいですが、最近は体調を崩すことも少なくなり、ウォーキングやピラティスなども行っています。家族や友人の支えもあり、日常生活は楽しく過ごせています。最初に健診で引っかかったCA125の数値も、治療後、正常値になりました。 編集部: 医療機関や医療従事者に望むことはありますか? RoMiさん: 医療機関内に、妊孕性について気軽に相談できる場所があったらなと感じました。私は年齢的に、そんなに考えることはなかったのですが、若い方にはとても重要な問題だと思います。あとは、何より、副作用の少ない抗がん剤を作ってほしいです。 編集部: 最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。 RoMiさん: もし治療中の方がいらっしゃったら、いま、この瞬間、1番楽しい、嬉しいことを思い浮かべてほしいです。1日に1回、1秒でいいから、笑顔になれることを。病気になると、楽しく感じるものも、嬉しく感じるものも減ってしまいます。でも、そんな状況でも必ず、笑顔になれるものがあります。その瞬間を大切にしてほしいです。治療期間は決してマイナスな過去にはならない、と私は信じています。そして、いま、何かを頑張っている方へ、「自分自身を大切に」と伝えたいです。健康であればあるほど、周囲の大切な人のために、自身の身体を大切にしてほしいと思います。