PCR拡充が必要 専門家会議が会見(全文5完)地域外来・検査センターを拡充
CT撮影後にPCR検査を受け付けるのは本末転倒では?
時事通信:あと2つです。発熱があり肺炎の疑いがある患者さんに関して、保健所に相談したところ、医師のほうでCTを撮って肺炎の所見があるのであればPCR検査を受け付けると、都内の保健所から言われたという話を医師から聞きましたが、本末転倒ではないでしょうか。このようなやり方は厚生労働省の事務連絡の内容に反しているのではないでしょうか。 釜萢:私からお答えいたします。これはまさにおっしゃるとおりでありまして、実は2月の中旬にそのような事例が非常に医療機関で問題になって、そして日本医師会では2月の26日から3月の13日までの間に医師が検査が必要だというふうに判断をして、そのような形で検査ができるようにつなげようと思ったんだけど、なかなかうまくいかなかった。いわゆる不適切事例というのがどうなのかという調査をしました。 その結果で26の都道府県医師会から290例の報告が上がりましたけれども、これをつぶさに見てみるとやはり保健所の業務があまりにも多忙で対応ができないんだということがよく分かったので、それは相談センターを使わない検査のルートをつくらなければならないというところにも、そのときにすごく強く思いまして、そして都道府県医師会、あるいは郡市区医師会にいろいろお話をお願いし、そして体制を整えてようやくそういう形で地域外来・検査センターというのができるようになった。 そしてそれは今度のゴールデンウィーク明けからはだいぶ全国に広がってくるということが期待されておりますので、今後はもっと検査がやりやすくなる。医師が必要と判断したものについては速やかに検査ができるという体制に近づいていくと思っております。
エッセンシャルワーカーを優先するのは合理的か
時事通信:東洋経済さんからもう1問です。医療関係者とならび、電力会社や水道、警察、公務員などのエッセンシャルワーカーについてもPCR検査において優先順位を高くする考え方に合理性はありませんか。昨今、警察官や電力会社の社員などでも感染確認が相次いでいます。PCR検査をなかなか受けられない例もあります。職場に感染を広げないためにも必要ではないですか。 釜萢:岡部先生。 岡部:いきましょうか。新型インフルエンザ、パンデミックインフルエンザのときにワクチンの優先順位っていうのを、ご記憶あると思うんですけれども、ある限られた資源を使ってやるときにはどうしても優先順位を付けざるを得ない。そのときも一番最初は医療関係者で、これは診る人っていう、それからその次にライフラインを守る人っていうのをずっと上がっていって、その中には例えば電力であるとか、輸送であるとか、あるいは職種によって。ただあまりそれを細かくいい過ぎちゃうと職業の貴賤に関わってくるので、あまり細かいところまで決められませんけれども、そういう応用問題から言えば、検査の応用が広がってくれば、最初はやっぱり院内感染の対策が優先だろうと思いますけれども、そのような問題は検査能力が増えてくれば、おのずから先にやらなくちゃいけないとということがどんどんできるようになってくると思います。