長瀬智也さんがビンテージアメリカンのレースを続ける思い「誰かの趣味や、人生の良い時間を過ごすきっかけになったら」
2024年6月9日、富士スピードウェイで行われたMCFAJ『2024クラブマンロードレース第2戦』の『MAX-AC』クラスに、長瀬智也さん(CHALLENGER RACING)が西田 裕さん(JOYRIDE)、伊藤 毅さん(ROUGH MOTORCYCLE)とともに『JAPANESE CHOPPER RACING』として出場しました。長瀬さんといえば、現在は芸能活動を休止しながらも自身のSNSでバイクや釣りなどのアクティビティを発信中。 【画像11点】長瀬智也さんが乗るレーシングマシンは「速そうに見えないハーレー!?」 今回のレースもまた自身のインスタグラムで「富士スピードウェイの収容客人数はおよそ2.5万人だそうですが我々のレースはいつもガラガラですのでゆっくりレースをお楽しみいただけるかと思います」「我々のために来てくれる記者様は1人もいないと重々認識はしておりますが、それでも我々のレースを選んでくれた記者様がいたのなら積極的に囲み取材の対応も考えさせていただきます」との発信により報道関係者をはじめ、ファンの方々が多数駆けつけたのでした。 そもそも長瀬さんは数年来『AVCC』(アメリカン・ビンテージ・コンペティション・クラブマンレース)やMAXグループ主催によるバイクレースに出場していて、ビンテージハーレー好きの間ではその活動はよく知られていました。 ただ、「僕らがこのレースを始めたときは、このクラスがなくなりそうなくらい少なかったんです。もう走ったら入賞するくらい。(レーサーが)3人しかいないって事です。そのくらい一時期、低迷してしまった時代があったんです」と長瀬さんは当時を振り返ります。 ちなみに、『AVCC』はビンテージバイクをコアに据えたレース団体で、年間3戦を開催中(2024年の最終戦は11月10日に筑波サーキットで行われます)。年季の入ったアメリカンが激走する姿はバイカーでなくとも胸打たれるものがありますよ。
今回、長瀬さんが参戦したのはMAX-AC(輸入車の空冷エンジンクラス)。そこに、昨今アメリカでも最もホットなレースといわれる『キング・オブ・ザ・バガーズ』用マシンを思わせる、ハーレーダビッドソン FLTRX-STベースのマシンを投入。 サスペンションや吸排気系はチューンナップされていますが、そもそもハーレーのラインアップ中で最も大きく重たいツーリングモデル系であるのに加え、サイドバッグを残した姿(とはいえ、バッグはカーボン素材などに換えられています)は一見レースには不向きとも思えるはず──。 編集部註:MAX-AC自体はバガーマシンのレースではなく、今回の同クラスでは他にドゥカティ 900SSが参戦。 ですが「ハーレーでレースをやるなんて笑われちゃうくらいの話かも知れないですけど、僕らは、そこに面白味を感じています。速いバイクで速いのは当たり前ですからね(笑)。アメリカのハーレーダビッドソンっていう、到底レースをするって思いにならないような、ツーリングに向けたバイクでレースをする楽しさを僕らは覚えてしまって」と、長瀬さんは笑顔を浮かべます。 マシンのチューン、メンテナンスを担っているのは東京・小平市にある知る人ぞ知るバイクショップ『ジョイライド・スピードショップ』(JOYRIDE)。代表の西田さんは長瀬さんと同じく『AVCC』に参戦していたことから「バガーレースを面白いという感覚の持ち主として真っ先に西田さんの顔が浮かんび、すぐさま電話をかけました」と長瀬さん。 実は長瀬さんはFLTRX-STのほかに、バガーレーサーのインディアン チャレンジャーRRも手に入れてましたが「インディアンも試乗しましたけど、やはり乗り慣れたハーレーの方が僕の感覚に合っていた」ことから、レースにはハーレーを選んだとのこと。 今回『JAPANESE CHOPPER RACING』として、長瀬さんがハーレーダビッドソン FLTRX-ST、西田さんがハーレーダビッドソン FLTRX、伊藤さんがインディアン チャレンジャーRRとバガーマシン3台で出走。 また、長瀬さんはヨシムラとの長年の親交からサポートも受けており、FLTRX-STのマフラーはワンオフのヨシムラスペシャル。USヨシムラが作っていた「シリーズ7」と同系統でチタニウム製。バンク角を稼ぐために地上高を高めに装着されているのがポイント。ハーレーの鼓動感に加え、レーサーならではの迫力を感じさせるエキゾストノートは、ぜひサーキットで耳にしていただきたい絶品です。 「新しい何かを作ったり、新しい何かを始めたりする時って言うのは一番楽しいんですよね。だけど一番最初にやる人って、まず笑われるじゃないですか、大体二番目の人がドカーンと行くんです。でも僕らは、一番目で良いんですよ。そういう立ち位置で、サーキットにいる一緒に走っているライダーの方達にすごく温かい声をもらって、乗っているバイクは違っても、気持ちが通じるっていうのは、言葉には代えられない喜びがあるので、僕たちだけで楽しむのはもったいない。皆さんにも是非とも味わってもらいたい」と長瀬さん。 また「色んな表現の仕事をしてきた人間として、見てくれる人がいないと表現者になれない。ライダーも同じだと思っていて、僕らを通じてちょっとでも知ってもらって、誰かにとって良い趣味や、人生の良い時間になってくれたら良いなという思いで、発信しています。もし(レースがしたくて)くすぶっている人がいるなら、ぜひチャレンジしてほしいと思います」ともコメント。