そもそも「骨太の方針」とは?歳出削減の小泉政権からAIやiDeCoなど成長戦略「ぜんぶ盛り」岸田政権へ、変化の軌跡
政府の経済・財政運営の指針を定めた「骨太の方針」が6月下旬にも閣議決定される。最初の骨太の方針が策定されたのは小泉純一郎政権のときだ。あれから23年が過ぎ、その内容も実は様変わりしている。23年間の骨太の変遷を振り返る。 【表・グラフ】「骨太の方針」の変遷を振り返る (種市房子:ライター) ■ 「骨太銘柄」には追い風か NTT、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、東京電力ホールディングス(HD)――。これらは、日本株の売買高ランキングでも常時トップに入る銘柄だが、同時に、「骨太銘柄」とも言える。 6月11日の経済財政諮問会議で政府が示した49ページの骨太原案には、成長戦略として「DX(デジタルトランスフォーメーション)」「GX(グリーントランスフォーメーション)」「資産運用立国」などの記述がずらりと並ぶ。 他方、NTTや東京電力HDは生成AIやデータセンター(DX)、再生可能エネルギー(GX)、三菱UFJFGは資産運用事業を手掛けている。 骨太に盛り込まれた成長戦略には今後、政府が減税措置や補助金、交付金などの財政措置を講じる可能性が高い。そのため、関連企業も潤うのではないか、というわけだ。「国策に売りなし」の相場格言を彷彿とさせる。
■ 首相側近に直談判する官僚も 2023年版の骨太の方針では「資産運用立国」というキーワードが突如出現し、2024年に新NISA(少額投資非課税制度)がスタートした。投資が一大ブームとなり、証券会社に好業績をもたらし、株価も上昇したことは記憶に新しい。 「骨太の方針」の正式名称は「経済財政運営と改革の基本方針」だ。小泉政権時の2001年に初めて策定された。内閣府の官民会議「経済財政諮問会議」の議論を集約した文書という位置付けである。 その諮問会議の目的について、内閣府HPでは「内閣総理大臣のリーダーシップを十全に発揮させるとともに、関係国務大臣や有識者議員等の意見を十分に政策形成に反映させる」と説明する。 つまりは、骨太も大臣と有識者の意見の集約の結果、ということになるはずだが、実際はどのように作成されるのだろうか。実態は、与党議員や霞が関官僚の意見も相当程度入っている。 骨太のたたき台は、内閣府が中心となって、各省庁の要望と有識者の意見を取り入れて作成する。最終決定には、首相や官邸官僚の意向が強くはたらく。 各官庁の官僚は自分の担当部署の政策が一言でも入ると、翌年度の予算で認められる可能性が高くなる。このため、首相秘書官や首相側近に直接頼み込んで、自らが担当した政策を骨太に盛り込む官僚もいる。 では、骨太がどのような構成になっているか、見てみよう。 (最終ページに「骨太の方針」の変遷が一目でわかる表とグラフを掲載しています)