チューリッヒにて 1965年頃

　大阪中之島美術館で、スイスを代表するグラフィックデザイナー、タイポグラファーであるヨゼフ・ミューラー＝ブロックマン（1914～1996）と、そのパートナーであり日本人芸術家の吉川静子（1934～2019）の2人の活動と作品を紹介する展覧会「Space In-Between：吉川静子とヨゼフ・ミューラー＝ブロックマン」が開催される。会期は12月21日～2025年3月2日。 　​​​​​​​ヨゼフ・ミューラー＝ブロックマンは、1960～80年代にかけて数度にわたり来日。亀倉雄策など日本のデザイナーと親交を深めるいっぽう、デザイン学校や美術大学で教鞭をとり日本のデザイン教育にも貢献した。紙面における文字組みと構成の方法論についてまとめ命名した「グリッドシステム」は、デザイン史上の金字塔というべき理論として今日まで大きな影響を与え続けている。 　吉川静子は、ドイツのウルム造形大学に留学しデザインを学んだのち、ミューラー＝ブロックマンの事務所に所属。ミューラー＝ブロックマンと結婚し、チューリッヒを拠点に芸術活動を行った。ミューラー＝ブロックマンの没後、大きな喪失感のなか太陽をテーマとした絵画を描き始め、晩年はシルクロードをテーマとした作品を制作。自身の芸術をさらに発展させ、正統的「モダン」の形式化した伝統から逸脱していった。 　本展は、吉川没後初となる二人展であり、スイスと日本の国交樹立160周年（2024）を記念した大回顧展。吉川の芸術性、ミューラー＝ブロックマンの構成的デザインを表現した作品を展示し、分野を超えたふたりの活動の軌跡を堪能できるものとなるだろう。 　なお、本展は大阪中之島美術館のみの開催となる。展覧会の詳細は続報を待ちたい。