戦力外NPB選手が社会人野球に惹かれるワケ「大人版高校野球みたい」
戦力外通告を受けたNPB選手が社会人野球で現役を続ける流れが活発化してきている。今年は巨人の元ドラフト1位で、引退後はスカウトを務めていた桜井俊貴投手(31)がミキハウスに入社して現役復帰。今オフは同じく巨人のドラフト1位だった高橋優貴投手(27)のミキハウス入社も決定した。元プロ選手が一発勝負の社会人野球に惹(ひ)かれる理由に迫った。 大人の“本気”がぶつかり合う社会人野球に元巨人・桜井は魅せられていた。本塁から一塁までの全力疾走、負けたら終わりの一発勝負の緊張感-。プロの世界とは一味違う雰囲気に野球人の性をくすぶられた。 「ベテラン、若手問わず全力でやる。凡打でもどこまで走るんやくらいの選手がいたり。そういうところは大人版高校野球みたい。見ててすごく気持ちがいいんじゃないかな」 2015年度ドラフト1位で巨人に入団するも、22年オフに戦力外通告を受けて現役を引退。1年間のアマチュアスカウトを経て、ミキハウスで現役復帰を果たした。1年目の今季は都市対抗野球と日本選手権の社会人二大大会のマウンドにも上がって躍動。異色の道を歩み、選手として輝ける場所を見つけた。 NPBのペナントレースとは違い、社会人野球は基本的にトーナメント形式での戦い。負けたら終わりの緊張感の中で選手は白球を追う。桜井は「一発勝負ってところで妥協できない。常に気持ちが張り詰めているといいますか、捨て試合が絶対ないと思っているので」と魅力を口にした。 来年からは今秋、巨人を戦力外となった高橋が巨人時代に親交が深かった桜井との縁もあってミキハウスに入社。「最終的に野球をしたいと思ったときに、どうしてもNPBがいいという思いはもともとなかった」とプロアマ問わず広く現役続行の道を探る中で社会人野球を選択した。 阪神を戦力外となった北條史也内野手(30)も今年、三菱重工Westに加入するなど、NPBから社会人野球に進む流れが活発化してきている。レベルの高い中で野球の技術を磨ける環境に身を置けるのも魅力の一つ。元プロ選手の第二の人生の選択肢として今後も注目が増していくことは間違いないだろう。 「確実に選択肢は広がっているのかなと。ネットニュースで見ても増えているのかなと感じる。自分の頑張りが野球を続けたい選手の道を示せればいいかなと今年は考えていました」と桜井。大人のガチンコ勝負はプロだけではない。社名を背負って腕を振る桜井の歩みが社会人野球にさらなる活性化をもたらす。(デイリースポーツ・北村孝紀)