ロシアが仕掛けるフェイクニュース…情報戦の最前線をキーウで取材
日テレNEWS NNN
ウクライナの反転攻勢が膠着状態に陥るなか、ロシアが仕掛けるフェイクニュースの勢いが増している。日本の飲食店が巻き込まれたケースも。フェイクニュースの実態とは。どのような対策が行われているのか。情報戦の最前線をキーウで取材した。(国際部・鈴木しおり) 【画像】“自分の声”が悪用される? 「フェイクボイス」も…
■ウクライナ大統領夫人が「イスラエル国籍」?
今年6月、複数のロシアメディアが一斉にある女性のパスポート画像を取り上げた。女性はウクライナのゼレンスキー大統領の妻・オレナ夫人だが、国籍がなぜか「イスラエル」に。これは、ロシア側が「ゼレンスキー夫人がウクライナを捨ててイスラエルに逃亡しようとしている」というフェイクニュースを広めるためにねつ造した画像とみられている。アルファベットと数字のフォントが異なるなど、不審な点もある。 ウクライナ東部・南部での攻防が膠着状態で長期化するなか、オレナ夫人に関するフェイクニュースが拡散されたケースのように、サイバー空間での情報戦の激しさが増している。
■フェイクニュースに対抗する精鋭組織「偽情報対策センター」
10月中旬、NNN取材班は、キーウにある「偽情報対策センター」を訪ねた。2021年に設立された公的機関で、ロシア側が発信するフェイクニュースを監視・分析し、正しい情報を発信している。 センターでは、広大なインターネット空間でどのようにフェイクニュースを監視・分析しているのか。ひとつは、自動監視システムだ。センターでは、30分ごとに14000件のニュースサイトやSNSアカウントを監視し、フェイクニュースの可能性があるものにアラートを出す独自のプログラムを開発したという。もうひとつは、人海戦術による目視。センターの職員はデジタルネイティブの20代やジャーナリスト出身者が中心となっていて、日々目視でニュースやSNSを監視し続けている。 インタビューに応じた所長代理は、「ロシアは、国際社会からウクライナの信用を失墜させることを目的とした巨大な偽情報作戦をいまも展開し続けている」と語った。1日に50件のフェイクニュースが見つかったこともあるという。