ロシアが仕掛けるフェイクニュース…情報戦の最前線をキーウで取材
■日本の寿司チェーンが巻き込まれたフェイクニュース
複数のロシアメディアが取り上げたこの画像には、日本の寿司チェーンのロゴが使われていて、あたかも店頭の看板のように見える。真ん中には、寿司職人がウクライナ人女性の口元を押さえているイラストが。さらに、左側には「話題を変えよう・美味しい寿司について話そう」というキャッチコピーが書いてある。これはイラストを踏まえると、「ウクライナについての話題を変えよう」という意味にとれる。つまり、このフェイクニュースは、ウクライナ国内に向けて、「日本はもうウクライナ支援に疲れているんですよ」というメッセージを送る狙いがあるとみられる。 センターでは日本大使館と寿司チェーンに連絡をとり、この画像がねつ造だと認定。発見から24時間のうちに、「これはフェイクニュースです」という発信を行った。その後、寿司チェーンも「拡散されている画像は無関係」とする声明を発表している。
最近も、イスラエル・パレスチナ情勢に関連して、「ウクライナがハマスに武器を供給している」とする記事がロシアメディアから発信された。これには「ウクライナは信用できない」というメッセージを広げる意図があるとみられる。
■ロシア側が発信したい「3つのメッセージ」
センターの統括分析官によると、ロシア側が発信するウクライナ関連のフェイクニュースには、3つのメッセージを広める目的があるという。 (1)戦争を始めたのはロシアではない、悪いのはウクライナだ (2)ウクライナは信用できない国だ、支援はやめよう (3)国際社会はウクライナを見限りつつある、降伏すべき 寿司のフェイクニュースは(3)に、ハマスのフェイクニュースは(2)にあたる。 センターの統括分析官は、「拡散してしまったフェイクニュースを完全に潰すことは難しいので、広がり始める前に素早く対応して正しい情報を発信することが重要」と語った。そのためより早くフェイクニュースを検知するシステムを開発することが課題となっていて、センターでは日本を含む各国と連携していきたいとしている。