明石商がコールド発進。ドラ1候補の中森3回7奪三振&来田4打席全出塁に阪神の和田豊TAが「完成されている」と称賛
もう一人のドラフト上位候補、「1番・中堅」で出場したキャプテンの来田は打ちたい気持ちを抑え、フォア・ザ・チームを最優先した。初回はストレートの四球で出塁して先制のホームを踏むと、2回2死一、二塁の第二打席でも四球を選び、つなぎ役に徹した。大量7点を挙げた4回には詰まりながらも口火を切るレフト前ヒットでチャンスメーク。この回、打者一巡で2度目の打席が回ってくると来田らしい素晴らしいスイングスピードでボールを捉え、センター前へタイムリーを放った。2安打2四球2得点。リードオフマンの役割を果たし、ホッとした表情が印象的だった。 「いつもとは違う応援風景。いつもはベンチ入りしないメンバーが出て、活躍したのは良かった。僕自身は代替大会ですが、感謝の気持ちを持ってプレーし、キャプテンとしてチームを引っ張って行こうと思っている。1番として初回に塁に出られたのは良かったと思う。2安打したけど、後ろにつなげる気持ちしかなかった。次は甘い球をしっかりととらえたい」 ネット裏には、巨人、阪神、オリックスの3球団のスカウトが視察に訪れていた。 地元の阪神からは和田豊テクニカルアドバイザーが、大学時代のライバルでもあった三菱重工神戸・高砂の山口敏弘監督と横並びで座り、熱い視線を送った。 「生で見るのは昨夏の甲子園1回戦以来。中森君は2年生の時点でドラフトに掛かっていい素材でしたし、1年たって下半身がしっかりして、フォームが安定している。完成されていますね」と絶賛。 来田についても「馬力があるし、スイングが速い」と高評価した。 ただプロの評価とは裏腹に狭間善徳監督は、中森については、「いいときを知っているのでまだまだですね」と注文をつけた。 「変化球を投げた瞬間、ボールと分かっていた。8月の交流試合までに仕上がればと思います」 センバツ出場校である明石商は、8月に甲子園で行われる交流試合の5日目に登場、16日に群馬の桐生第一と対戦するが狭間監督は、中森の集大成をそこで見せたいという。 チームの合言葉は、その交流試合まで無敗で突っ走ること。 「予定していた全員出すことができて、わがごとのように喜んでいます。野球をやっていてうれしかった。全員出さないといけないプレッシャーはありました。本来、このようにメンバーを変更できるのは教育的な見地からも望ましいこと。この大会は4試合全部勝って、3年生全員を出す。もちろん、勝負にもこだわりつつ。勝たないと全員出せませんから」 狭間監督は、圧勝劇にもかかわらず試合をそう振り返った。