「痔」の予防法はご存じですか? 原因や日常生活でできる対策も医師が解説!
痔の原因はご存じですか? 原因を知って生活習慣を改善することで、痔のリスクを減らすことができるのかも気になるところです。今回は、痔の原因や予防法について、「平田肛門科医院」の平田先生に解説していただきました。 【イラスト解説】病気のサインかもしれない「血便」に要注意 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
痔とは?
編集部: まず、痔について教えてください。 平田先生: 痔は肛門と肛門周辺の病気の総称で、むし歯に次いで第2位の国民病です。検診をおこなえば、約5割の人に痔が見つかると言われています。痔は「痔核(じかく)」「裂肛(れっこう)」「痔瘻(じろう)」の3種類に大きく分けられます。 編集部: それぞれについて、もう少し詳しく教えてください。 平田先生: 肛門にいぼ状の腫れができているのが痔核で、肛門の外側にある肛門上皮が裂けてしまうのが裂肛、肛門腺にうみがたまり、瘻管という管ができてうみが出てしまうのが痔瘻です。さらに痔核は、いぼができる場所によって「内痔」と「外痔」に分けられます。 編集部: どのタイプの痔が多いのでしょうか? 平田先生: 割合は男女で少し異なりますが、当院のデータでは半数以上が痔核の患者さんです。次いで男性では痔瘻、裂肛と続きます。女性では2番目が裂肛、3番目が痔瘻となっています。意外かもしれませんが、妊娠・出産があるため痔になるのは女性の方が多いのです。
痔の原因をタイプ別に解説
編集部: なぜ、痔になるのですか? 平田先生: それぞれのタイプによって、原因も異なります。例えば痔核の場合、便秘が原因であることが多いですね。便秘のときに、トイレで長時間いきんで肛門に負担をかけていると、肛門のクッション組織の血流が悪くなってうっ血したり、血管が切れて出血し、血管と結合組織が肛門内に出てきたりします。ほかには、長時間座ったままでいたり、立ったままでいたりすると同じく腹圧がかかりますし、妊娠や出産で痔核ができることもあります。 編集部: では、裂肛の原因はなんですか? 平田先生: 便秘や出産で腹圧をかけすぎると肛門上皮が裂けることがあるので、痔核と同様、痔の原因として注意が必要です。ほかには、慢性の下痢も裂肛の原因となります。下痢でも便の回数が増えて腹圧がかかりやすくなるので、すぐに切れて裂肛になるのです。 編集部: では、痔瘻の原因は? 平田先生: 痔瘻は、便に含まれている細菌からの感染で起こります。通常は細菌に対する免疫力があるので、炎症を起こすことはありませんが、ストレスや疲労が重なって肛門の免疫力が落ちていると、肛門陰窩(いんか)というくぼみに細菌が侵入し、炎症を起こして肛門腺が化膿することもあります。