高齢者は便秘になりやすい! 原因と対策、問題点を介護福祉士に聞く
高齢者は便秘になりやすいと言われています。加齢と共にあらゆる身体機能や食事量、ADL(日常生活動作)が低下し、活動量が減るためです。しかし、実際に何歳くらいから便秘になりやすくなるのでしょうか。 具体的にどうすれば高齢者の便秘を予防する方法も気になります。今回は高齢者が便秘になってしまう原因や対策について、介護福祉士の佐藤さんにお話しを伺いました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
高齢者が便秘になりやすい理由を解説 主に考えられる5つの原因とは
編集部: 高齢者の便秘の原因で主要なものは何でしょうか? 佐藤さん: 主な原因として挙げられるのはこちらの5つです。 ・大腸の働きの低下(弛緩性便秘) ・活動量の低下 ・蠕動運動(ぜんどううんどう)の低下 ・食事・水分量の低下 ・腹筋や骨盤底筋群などの筋力低下 若い時は正常に働いていた機能が、加齢と共に低下し便秘を引き起こします。また、活動量の低下と共に食欲もなくなり、便の材料となるものが減少するのも便秘の原因です。これらの原因にアプローチするのが便秘解消への近道となります。 編集部: 蠕動運動とはどのようなものですか? 佐藤さん: 腸の輪状筋という筋の収縮運動です。食物は、胃→十二指腸→小腸→大腸の順に運ばれ排泄に至ります。この運搬機能を担っているのが蠕動運動です。腸管の口側が収縮、肛門側が弛緩し、内容物を肛門に向かって押し出してくれます。 蠕動運動は自律神経とも大きく関わっており、体を動かす時は交感神経、リラックスする時は副交感神経が働きます。蠕動運動は副交感神経が優位になると活発になり、スムーズな排便を助けてくれます。自律神経のバランスは、便秘予防の重要な要素です。 編集部: 弛緩性便秘とはどのようなものでしょうか? 佐藤さん: 大腸の蠕動運動が低下して起こる便秘を指します。原因は筋力低下による内臓下垂、食物繊維不足などです。蠕動運動が低下すると、便が大腸を通る時間が通常よりも長くなり、便の水分が大腸に多く吸収されます。 その結果、便が硬くなり便秘になってしまうのです。弛緩性便秘では、腹痛は起こりませんが、お腹の張りを強く感じるようになります。腸内に便が溜まると悪玉菌や有害ガスが増え、結果お腹の張りを招きます。 また、便の性状は、コロコロした太く硬いものなので、排泄時にかなり力みます。そうすると痔に発展する可能性があるので、弛緩性便秘は早急に対策しましょう。