企画力でバズりまくり、「くら寿司」の社員ユーチューバーは一体何者?「アルバイトから入社」
◆「当時、知っていたのはヒカキンさんだけ」
──では、なにがきっかけで動画をやるように? 最初は動画というよりも販売促進部だったので、チラシやお店の販促物をメインに担当させてもらっていたんです。でも関東にいたということもあり、CMの撮影に行く機会も多かったんですよ。 そういうところに行っているうちに、映像がどういう風に撮影されているのか? とか、商品の撮り方を見ているなかで、「私ならこういう風にするかもな」と思い始めたんです。でも変に口出しはできないから、試しにサンプルの動画を作って、見てもらったのがきっかけですね。 ──チャンネルを立ち上げた頃は、YouTubeをよく見ていたのですか? いや、まったく見たことなかったです。当時YouTubeを始めるってなったときに知っていたのはヒカキンさんだけです。でもヒカキンさんの動画は見たことなかったです。その凄さもわかってなかったですね。 ──ということは、始めることになったときはどんな動画を参考に? どちらかと言うと動画は見てないです。見たら自分が思っているものができないと思ったので。当時はすでに「こうやったら面白いんちゃう?」というのを思いついていたので、参考にするのではなく、自分のなかのアイデアを「どうするか」でしたね。 今も撮影するときは、自分のなかにある引き出しから、パッと出てきたものを使っている。思いつかなかったら何も出てこないです。あ、でも最近はかなりYouTubeを見てますよ。「この人すげー!」って思うようになったので、パワーアップしたのかもしれないです(笑)。
◆ コメントには自ら返信、バズ企画の「極意」
──商品を使ったアレンジ動画も人気ですね。 SNSで「くら寿司」の人気アレンジみたいなのがあって、これは発信しないわけにはいかないと思って始めました。それが人気になってくると、次は「こんなんうまかったで」ってコメントが結構来るようになって。良さそうなものをカテゴリに分けてまとめて出したり、私が考えたアレンジを追加したりして出しています。 ──「赤だしのサーモンじゃぶじゃぶ」や「チャンジャ納豆」といった独創的なアレンジメニューも、元はコメントがきっかけだったんですね。 コミュニケーションから企画が成り立っている部分は大きいですね。はっきり言って私はアレンジをやらないんですよ。そのままが好きなんです。でもいろいろやると、世界が広がっていく。 コメントにも「うどんに甘ダレや七味入れたらおいしいで」といったある程度イメージのつくものから、ぶっ飛んだものまで来るので、そのなかで面白いなと思ったものは「やってみます」と返信して、実際に取り上げたら、視聴者の方が喜んでくれるんです。 ──え、稲葉さん自らがコメントに返信されているのですか? 全部私がかえしています。かなりの数をかえしているので、件数が多くなると時間がかかります。 ──そうして、また視聴者のコメントも盛り上がるという。稲葉さんが考えた企画がNGになることもあるのでしょうか。 公開直前でNGもあります。バズる動画は結構パッパッと頭に浮かぶんです。でも、一時的に流行って廃れるのは嫌。あと炎上するわけにはいかないので、見て楽しんでもらえる範囲で、できるだけ過激じゃなくても行ける道を進めればと思いますね。 ──企業チャンネルですから続けることも目標だと思いますが、稲葉さんが目指しているゴールも教えてください。 目標は登録者数100万人。だいぶ大きな目標ですね。次の段階としては海外に積極的に店舗を出店している「くら寿司」なので、海外でも見られるようにしていきたいです。でも、これまでと同じやり方やったら難しいというのはわかっているので、なかなか手強いです。 ◇ 実は動画の裏では「トークがあまり得意ではない」と言う稲葉さん。インタビューを終えたあとには「大丈夫でしたか?」と、自身のパフォーマンスを気にする場面もあったが、取材班からは「完璧でした」と称賛の一言。「くら寿司」が大好きだという社員ユーチューバーがこのチャンネル、そして「くら寿司」をどこまで成長させるのか今後も目が離せない。