日銀の「早期追加利上げ」観測が早計すぎるといえる理由
3月19日の会見で植田日銀総裁は、追加利上げについて「ゆっくり進めていける」と発言した(写真:ブルームバーグ)
3月19日、日本銀行がついに8年間継続してきたマイナス金利政策の解除を決めた。同時に、長期金利にも誘導目標を設定するイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)政策や、ETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)などのリスク資産買い入れ策も撤廃された。 事前に植田和男総裁、政策委員からのさまざまなコメントや観測記事が出ており、市場に完全に織り込ませたうえでの政策変更であった。そもそもマイナス金利政策解除は、象徴的な意味合いは大きいとしても、実質的にはたかだか0.1%程度の小幅利上げにすぎず、次の利上げが見えてこない限り、そのインパクトは限定的なものにならざるをえない。 実際には、観測記事が出たところでいったん円高・株安になったものの、織り込みが終わると円安・株高が再開し、決定後はさらにその動きが加速することとなった。
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田渕 直也