40代夫婦、〈月4万7000円〉の米ドル建て終身保険を9年間払い続けるも…老後資金の準備には程遠い「厳しい現実」【保険のプロが解説】
生きていくうえでの「安心」を買うために、我々が加入している「保険」。「掛け捨てではない」「外貨で運用するのでお金が増えやすい」という売り文句につられて加入する人も少なくありませんが、果たしてそれは正解なのでしょうか。保険商品の仕組みから業界の裏事情まで知るオフィスバトン「保険相談室」代表の後田亨氏が、老後資金の貯蓄にも有利、といわれる「米ドル建て終身保険」について解説します。 【早見表】国民年金・厚生年金「年齢別・平均年金受取額」…2022年3年度末現在
■登場人物 ■後田 亨 :オフィスバトン「保険相談室」代表 ■五十嵐有司(40歳):会社員、五十嵐美香(40歳):パートタイマー 子ども(4歳)1人の3人家族/「医療保険」「外貨建て終身保険」「学資保険」など、5本の保険に加入中/月々の保険料は約8万円(ドル円の為替レートで変わる)
「老後資金の準備」として終身保険を加入したが…
(後田):では、終身保険の見直しに入ります。これで、いろんな問題がスッキリするかと思っています。 加入されている「米ドル建て終身保険」は、死亡時の保険金額(死亡保障)が15万ドル、今の為替レートなら、2,100万円ほどですね(1ドル=140円)。 米ドル建て終身保険 保険金額:死亡時15万ドル(夫・有司の死亡時に支払われる) 保険料:月337.76ドル(46歳まで払う) 有司さんが31歳のときに加入なさっていて、保険料は毎月337.76ドル、今の為替レートだと、保険料は毎月4万7,000円強、この保険料を有司さんが46歳になるまで、あと6年支払うことになっています。 「終身保険」は死亡保障だけでなく「解約返戻金」がある (後田):最初に確認させてください。この終身保険は、販売員から「老後資金を準備できます」と提案されたのではないでしょうか? (五十嵐有司):はい、そうです。 (後田):やはり、そうでしたか。ただ、この保険には「一生涯の死亡保障」もありますから、有司さんが高齢になってから亡くなった場合でも、ご遺族には2,000万円を超える保険金が支払われるわけです。でも、そのような保障が欲しいわけではないんですよね? (五十嵐有司):はい。そこまでは必要ないと思います。 (五十嵐美香):こういうのってよくあることなのでしょうか? (後田):はい。「終身保険」は一生涯の死亡保障があるだけでなく、解約の時期によっては、まとまった額のお金が払い戻しされます(解約返戻金)。そのため、老後資金を貯める手段として提案されることが多いんです。 営業の人に、「掛け捨てではありません」とか「外貨で運用するので、円建ての保険よりお金が増えやすい」と言われたのではないでしょうか。 (五十嵐有司):はい、今、おっしゃった通りの説明でした。
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