福島発――こども園+「発達支援」に全国が注目 きっかけは原発事故 「そのままでいいんだよ」…垣根越え“らしさ”に寄り添う『every.特集』
きめ細かなケアが求められる発達支援。その支援を行う場と教育・保育施設が別の場所にあると、親子の負担は大きくなります。そんな中、発達支援の場を統合して子どもに寄り添う福島県のこども園が注目されています。取材した園児には変化が表れていました。 【動画】きっかけは“原発事故”こども園に“発達支援”の場も『every.特集』
■全国から注目される子育て拠点
福島・二本松市。ここに全国から注目される子育て拠点があります。 朝のあいさつをする3~5歳の子どもたち、ステージで踊る2歳児、お絵描きや工作、積み木をする子どもたち…。ここは、働く親などが0歳から子どもを預ける「保育所」と、3歳以上の子どもが通う「幼稚園」を統合した認定こども園です。 ただ、それだけではありません。奥に進むと「地域・子育て支援センター」があります。こども園に通っていない親子が使える遊びや交流の場です。さらに、発達障害やその可能性のある子どもたちの支援を行うスペースもあります。 多くの自治体では、発達支援を行う場はこども園などとは別にあり、親や子どもにとって、移動や環境の変化など大きな負担があります。ここでは、その負担がありません。
■理事長に聞く…こども園ができた背景
なぜこの園ができたのか。施設を運営する学校法人まゆみ学園の古渡一秀理事長は「東日本大震災から3年後、4年後に入ったときに、落ち着かない子がなんでこんなに急激に増えたんだろうっていうのが、実は最初のきっかけになってて…」と振り返ります。 原発事故で外出を控え、人と触れあうことが少なくなったことで、子どもの成長や発達に影響が出ているのでは、と危機感を覚えたといいます。 古渡理事長 「特性ある子と本当にうまくやる方法を考えないと、保育教諭がもう何をやっていいか分からないくらい、大変だったっていうのはあります」 こうした考えから専門性のあるスタッフを新たに加え、おととし4月、発達支援の場と地域の親子が集えるスペースを兼ね備えた、このこども園をオープンしました。
■発達支援スペースで運動や言葉の訓練
こども園の年中クラスに通う、おおともゆうりくん(5)。この日まず向かったのは、こども園ではなく発達支援のスペースです。運動や手先を使った細かい動きが少し苦手なゆうりくん。ここでは、それらの訓練に取り組んでいます。 以前は言葉の遅れもあったといいますが、聞き取ったヒントから言葉を想像して当てるゲームにも楽しみながら取り組めているゆうりくん。「空を飛ぶ乗り物です」とヒントが示されると、「ひこうき!」と答えていました。