【毎日書評】迷ったら「2時間後の自分を大切にする」選択を。うつ病をやめた薬剤師の習慣
『うつやめ 15年間うつだった薬剤師のボクが2か月でうつ病をやめた方法』(早津淑男 著、あさ出版)の著者は、「うつやめ®コンサルタント、薬剤師」という肩書きの持ち主。薬局で働きながら、オンラインで日本全国のクライアントの心の習慣を解消するサポートをしているのだそうです。 ちなみに本書は、著者自身が15年間にわたってうつ病を経験し、そこから学んだことをシェアするために書かれたものだといいます。 うつ病になると、多くの人は「つらいことしかない」と思っているかもしれません。でも実際は、うつ病から「得ているもの」もあります。大切なのは、得ているものがあって、それを自ら「選択している」という事実に気づくことです。それを自分の意思でやめることも自由なのです。(「はじめに」より) 著者自身、そのことに気づくまでにはずいぶん時間がかかってしまったようです。「自分はうつ病になりやすい」「うつ病になると、なにもできない」というように、すべてをうつ病と結びつけて15年間生きてきたというのです。 しかし、そうした考え方を変えたことで、少しずつうつ病から解放されていったのだそうです。「そんなことがあるのか」と思われるかもしれませんが、似たようなプロセスを経てうつ病から抜け出した人を私も知っているので、これは充分に納得できる話だと感じます。 ともあれ本書は、自身がうつ病経験を持ち、それを克服した著者の経験に基づいて書かれているわけです。押しつけがましさは一切ないのに、強い説得力を感じさせてくれるのはきっとそのおかげ。 きょうはそのなかから、PART 3「うつ病を手放す生活習慣」をクローズアップしてみたいと思います。
5分間「朝起き」をする
ただでさえ早起きするのは難しいのに、うつ病で症状がきついときであればなおさら苦しいものではないでしょうか。そこで著者は、まずは「朝起き」から始めてみようと提案しています。同じようでいて、「早起き」と「朝起き」は少し違うというのです。 「早起き」は、目覚まし時計を朝の早い時間にセットし、その時間になったら起きることです。 一方、「朝起き」は、目覚まし時計によって起きることではなく、目が覚めた瞬間に起きることです。これは「起きなさい」という潜在意識の指令に従って起きることになります。(97ページより) 寝る前に“起きる時刻”をだいたい決めておき、たとえその時刻より早く目覚めたとしても、その時点で布団やベッドから出るわけです。これは、自分の体に対しても、そして潜在意識に対しても「ちゃんと起きたよ」と認識させるため。 「起きなさい」という潜在意識のメッセージに従って行動できるようになると、これまでスルーしていた、潜在意識の深い部分にある“本当の自分の声”を聞けるようになり、体の感覚も鋭くなるのだとか。 当然のことながら、潜在意識は体に対してなんらかの理由で「起きなさい」という指令を出しているはず。にもかかわらず逆らって再び眠ってしまうと、やがて体が潜在意識からのメッセージを受け取れなくなるのです。 潜在意識から「起きなさい」というメッセージがきて目が覚めるのは、体が水分を欲しているときや、トイレに行く必要があるときなど、理由はいろいろです。 この「目が覚めた」ときに、二度寝をせずに、すぐに起きるのが「朝起き」です。 目が覚めたら、すぐにベッドから出て、まだ眠かったとしても少なくとも5分間はその状態でいるようにしてみてください。(98~99ページより) 著者によれば、それが「潜在意識に応えること」。最初は慣れなかったとしても、少し我慢して続けていれば、やがて自分のおきたい時刻に起きられるようになるそうです。また、目が覚めても二度寝はせずに、起きたらすぐなにかすることも重要。 たとえば、起きてすぐカーテンをあけて、朝日を浴びるのもいいでしょう。 朝日を15分ほど浴びると、「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌が促されます。セロトニンが出るようになると、少しずつ精神も安定し、前向きになります。朝日を浴びることが習慣になると、さらに朝起きることが当たり前になっていきます。(100~101ページより) うつ状態から脱したいのなら、生活を夜型から朝型へ変えていくことはとても大切なのだそうです。(96ページより)