動物園職員と絵本作家の二足のわらじ 飼育員がネタ元 園内新聞の4コマ漫画90点以上に
茨城県日立市が運営する「日立市かみね動物園」(同市宮田町)には、サポーター(非常勤職員)として同園の業務を担当しながら、園内で発行される新聞に動物たちを主人公とした四コマ漫画を連載してきた女性のイラストレーター・絵本作家がいる。二足のわらじを履きながら8年間で発表した作品は90点以上。「この経験を生かし、動物をテーマとした絵本を世に出したい」との構想を描いている。 【4コマ漫画】ゾウのスズコとミネコのやり取りなどを描いた作品など ■動物とかかわりたい 女性は、滑川麻衣さん(35)。地元の日立市出身で、茨城大学教育学部のアート文化コースで絵本などについて学び、卒業後はイラストレーターや絵本作家(ペンネーム=滑川まい)として活動してきた。 絵本作家としては主に生きものを描き、出版社のコンテストに応募して佳作となったが、大賞を受賞した作品と自作を比べて力不足を実感した。「大賞作品は、自分の飼い犬を取り上げた感動的な内容だった。私はペットを飼ったこともない。絵本を描くためもっと動物のことを知りたい」 そう考えていた時、日立市の市報で、かみね動物園が非常勤職員を募集していることを知り、「これだ!」と飛びついた。 平成28年に採用され、来園者とモルモットやウサギとの「ふれあいコーナー」や、活発に行動するボリビアリスザルの様子を見守る係などを担当。一方で園からは来園者らに向けて当時は月に1回発行していた情報紙「かみねっちょ新聞」への四コマ漫画の連載を依頼され、同年6月から描き始めた。 ■飼育員に取材 最初は自分がかかわるリスザルやモルモットなどを取り上げたが、担当外の動物については飼育員に詳しく取材。興味深いエピソードを聞くと、自分でその動物のもとへ通ってじっくり観察。スケッチしたり、スマートフォンで撮影したりした。 「そうしているうち、飼育員の方たちが動物の面白いネタを一覧表にまとめて、年に何回か渡してくれるようになった。ありがたかったです」 園にはスズコとミネコという2頭の人気者のメスのゾウがいるが、それぞれ性格が違う。4コマ漫画では、スズコが与えられた果物へ「あら、おいしそう」とすぐに食いつく。ミネコがえり好みして果物に手(鼻)を出さないでいると、「じゃあ、わたしが」とスズコがちゃっかり奪うという作品も担当飼育員の情報提供から生まれた。