スズキが22年ぶりに「鈴鹿8耐」に帰ってきた!「カーボンニュートラル」で臨んだワークスチームの気になる結果は…?
話は意外なほど早く展開
今回、その参戦について、田中 強(たなか つよし)スズキ2輪事業本部本部長に直接話を伺うことができた。そもそものこの参戦のきっかけは2023年の8耐の現場でFIM(国際モーターサイクリズム連盟)側から持ち掛けられた提案であった。 「スズキさん、興味はありませんか? 参戦するなら協力します」 FIMからの問いかけに、いったん会社に持ち帰った。 「将来的に検討していかなきゃなぁ、くらいに思っていたのだけど、秋ごろにはこの参戦について検討してみようという話になって」(田中氏) 話は意外なほど早く展開を始めた。その時、社内にはレースの体制もなく、車両もない。準備期間は1年もない。できるかどうか、わからない。 「いろいろと悩みつつ、ヨシムラさんに声をかけたところ全面的に協力をしてくれるという話になりました。燃料を確認してみたら、これ、イケるんじゃないか? ということで参戦に至りました」(田中氏) それは2023年10月過ぎのことだった。 車両があるだけではだめで、レースにどこまでアジャストできるのか? そして8耐を走り切る機材も必要で、さまざまなものを借りながら、なんとか目途がついて間に合ったという。その準備の中でさまざまなサステナブルなアイテムの情報も集まってきていた。燃料の確認のためのエンジンのベンチテストだけで、何のテストもしていなかった段階だったものの、春先の東京モーターサイクルショーでの参戦発表となった。
CNチャレンジのメンバーは、スズキ社内で選抜
このチームを引っ張るのは、佐原伸一チームディレクターだ。 「MotoGP撤退の理由がサステナブルな開発にリソースを集中させるためにというものでした。そこから一転、サステナブルな開発を促進させるためにレースに出る、となった時のリーダーは、そのMotoGPのプロジェクトリーダーを務めていた佐原しかないだろう」 その佐原氏に田中氏が注文したのは「社内の人間でチームを構成しろというオーダーです。2輪の部署だけでやるのではなく」だった。 さっそく佐原氏は全社員に対して、「こういう取り組みをします。やりたいメンバーは上長の了解を得てたうえで応募してください」という募集を掛けたという。というのも、この8耐参戦については、専任ではなく、自身が抱えている業務をやりながら参加することが前提なのだ。そうなると時間が取られ自身の業務に支障をきたす可能性もある。 「つまりこのプロジェクトは周りのサポートがなければ参加できないんです。その協力を得られる人は手をあげてください、ということです。100名弱の応募がありました。4輪であったりマリンであったり、生産技術や管理部門だとか品質部門からも応募がありました」(佐原氏) レースなのでライダーの安全なども考え、コアメンバーは経験者を選んでいるが、それ以外は、面接などを行って社内から15名ほどが採用となった。 「チームは30名弱ですが、スズキの新しい取り組みをするってところに自分も少しでも力になりたいといって応募してくるメンバーもいました。いま見渡してみると、ほんとうに良いメンバーが集まったなぁというのが正直な感想です。今回のチャレンジは、2輪の取り組みではなく、スズキ全体の取り組みとしてやりたかったのです。で、今回の壮行会に300名くらい集まって、応援メッセージも450件以上、と全社が応援してくれているという印象があります」(佐原氏)
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