【特集 比べるワゴン─ジャーマンプレミアム編 ③】クーペライクなのはルックスだけじゃない「ハイパフォーマンス ワゴン」の世界
非なるようで通じる部分もあるCLA45 SとRS4
では、2台を走らせたときの印象はどうだったのか? まずはRS4で一般道を走る。低速域でさえゴツゴツした印象を与えず、ソフトな当たりの乗り心地に仕上げられているのはアウディRSモデルの伝統というべきもの。私は個人的に同じ世代のA4アバント 35 TDI アドバンスドを所有しているが、当たりのソフトさだけでいえばRS4のコンフォートモードのほうが、はるかに快適なくらいだ。 もっとも、その代償としてフラット感が薄いのはやむを得ないところ。とりわけ高速道路ではピッチング方向の動きがわずらわしく感じられるほどになる。ただし、そんなときはオートモードに切り替えれば、タイヤの当たりをソフトなレベルに保ったまま、アウディらしい快適なフラットライドを味わえるようになる。 こうした傾向は、ワインディングロードではさらに顕著になるようで、積極的なコーナリングを楽しもうとすると、オートモードでもピッチングは過大で、ダイナミックモードを選択したくなる。 こう書くと、なんだか消去法的にダイナミックモードを選択しているように思えるかもしれないが、ワインディングロードでの走りは目が覚めるほどに素晴らしい。操舵初期のレスポンスが鋭すぎず、ドライバーの自然な感覚にマッチした反応を示してくれるのは、いかにもアウディらしいところ。 しかも、わだちなどで路面が荒れていても進路は乱されないため、ハンドルを1度切ったら、その舵角を保ったままでコーナーをクリアできる理想的なハンドリングを示してくれる。ロールが小さく抑えられていて、ロードホールディング性能がバツグンに優れていることを含め、この種のスポーツモデルとしては120点を献上したくなるほどの完成度である。
全般的なスタビリティ感には、明確な「差」が
かたやCLA45 Sはというと、オプションのAMGパフォーマンスパッケージが装着されていなかった関係でサスペンションのモード切り替えはなく、1種類のセッティングですべての状況をカバーしなければならなかったが、その割には上手く作り込まれていると感じた。 一般道や高速道路ではややソリッドな乗り心地に感じるのはやむを得ないものの、それも十分に許容できる範囲。それでいて、ハードコーナリングでも不安定な姿勢に陥ることなく、RS4に迫るペースでワインディングロードを駆け抜けていけるのだから大したモノだ。 ただし、細かく観察していくと、コーナリング中に路面のギャップに乗り上げると、コーナーの外側に向かって斜め上方にボディが上下する傾向が見られたほか、外乱の影響を受けやすいためか、状況によってはコーナリング中に修正舵が必要なこともあった。 つまり、全般的なスタビリティ感についてはRS4がCLA45 Sを確実に凌いでいたのである。