生活保護の申請をしたばかりなのですが「遺産」が入りました。申請を取り下げるべきでしょうか?
生活保護は、生活に困窮している人に対して、その程度に応じて必要な保護を行う制度です。制度を利用する際には、居住地域を管轄する福祉事務所の生活保護担当に事前の相談をしてから申請します。 しかし生活保護を申請してから遺産が入ることがあるかもしれません。この場合は申告して申請を取り下げたほうがよいのでしょうか。 そこで今回は、生活保護を受けるための要件を確認して、遺産が入った場合の適切な対応について調べてみました。 ▼「生活保護」の受給要件とは? 親族への扶養照会は必須なの?
生活保護を受けるための要件とは?
厚生労働省によると、生活保護を申請する際は、保護を決定するために生活状況や資産についての調査が行われます。ほかにも家族からの仕送りや年金など何らかの収入の有無なども調査され、これらを総合的に判断して保護の決定がなされるようです。 保護が決定されると、厚生労働大臣の定める最低生活費から、年金や就労などによる収入を引いた額が保護費として毎月支給されます。 生活保護を受けている間も「利用し得る資産、能力その他あらゆるものを最低限度の生活維持のために活用」する義務があり、状況が変化した場合に保護費が減額されたり、要件を満たさなくなると保護が打ち切りになったりすることも考えられます。
生活保護の申請をしたばかりなのに遺産が入った……どうすればよい?
生活保護を申請してから、遺産が入った場合はどうすればよいでしょうか。生活保護を受けている人が遺産相続をすることは可能ですが、財産が増えることで生活保護を受けるための要件を満たさなくなる場合がある点に注意が必要です。 例えば多額の財産を相続すれば、それを生活費に充てられると判断され、生活保護の受給は認められなくなると考えられるでしょう。一方で、生活保護費の1ヶ月分にも満たないような遺産を相続する場合は、それだけでは生活が成り立たないため生活保護の決定に影響はないとされています。 いずれにしても、生活保護を受けられる相続財産がいくらまでかを定める具体的な規定はありません。そのため、申請をしたばかりで遺産が入るような場合は、速やかに福祉事務所に報告して相談する必要があります。