「この姿もまもなく見納め?」 ── ブルートレインが走れない理由とは?/鉄道ライター・伊原薫
第三セクター移管で生まれるもう一つの問題
第三セクター会社へ移管されることによって生まれる問題はもう一つあります。それは運賃。これまではJRグループとして通算の運賃が設定されていましたが、今後は各第三セクター会社が独自の運賃を設定するため、当然運賃は高くなってしまいます。 例えば「カシオペア」の上野~札幌間の運賃は、JRの運賃とIGRいわて銀河鉄道・青い森鉄道の運賃を合計して18,440円で、これが仮にJRだけの路線だった場合より4,000円ほど高くなっています。北陸本線でも同様の値上がりが予想され、また会社間での運賃のやり取りの手間等も増えるため、こういった列車の運行は今後難しくなるものと思われます。 寝台列車特有の「旅をしている」という実感、それが味わえなくなる日ももうすぐそこなのかもしれません。JR九州の「ななつ星in九州」に続き、JR西日本やJR東日本でも豪華寝台列車の導入を進めていますが、もっと気軽に乗れる「現代版ブルートレイン」の復活を祈りたいものです。 (文/伊原薫/鉄道ライター) ■伊原薫(いはら・かおる) 大阪府生まれ。京都大学大学院・都市交通政策技術者。(一社)交通環境整備ネットワーク会員。グッズ制作やイベント企画から物書き・監修などに取り組む。都市交通政策や鉄道と地域の活性化にも携わっている。好きなものは103系、キハ30、和田岬線、北千住駅の発車メロディ。