【闘病】不正出血あっても検査を避けていたら… 「子宮体がん」発覚と辛いリンパ浮腫も発症
思いがけない、リンパ浮腫の辛さ。でも、あまり心配しすぎないようにすることが大切
編集部: 発症後、生活にどのような変化がありましたか? 内田さん: 困ったのは手術直後の傷の痛み程度です。病理検査の結果も「ステージI、組織型は類内膜がんのグレード1」ということで、そのまま経過観察になったため、特に生活に変化はありませんでした。 ただ、リンパ節郭清のためにリンパ浮腫を発症し、脚が曲がらない、運転もできないという生活の不自由さには困りました。一生続くケアを考えると、楽天的な私でも暗い気持ちになることがありました。 がんの何倍も今後のことが気になり、辛かったですね。リンパ浮腫については本格的に取り組まれるようになって日が浅く、情報が錯綜しています。周りの理解もほとんどないのが余計に辛いところです。現在は、リンパ浮腫はかなり落ち着いています。 編集部: 闘病に向き合う上で心の支えになっているものを教えてください。 内田さん: 私は今64歳ですが、好きなことがいっぱいあって、まだまだこの人生を楽しみ足りない!という気持ちが一番の支えです。美味しいものも食べたいし、行ってみたいところもある、新しい趣味も始めてみたいと思っています。 私のモットーは「起きてしまったことにくよくよしない。起きてもいないことを心配しない」です。心配しても何かが良くなるわけじゃないので、あまり心配しすぎないようにしていました。 編集部: もし昔の自分に声をかけられたら、どんな助言をしますか? 内田さん: 親切心からかもしれませんが、さまざまな助言(「〇〇ががんに効く」「抗がん剤は毒だからやってはダメ」など)をしてくる人が一部いらっしゃいます。 書店にもネットにも医学的根拠のない情報は溢れています。思わず信じたくなる気持ちはわかりますが、絶対に迷わないでほしいです。
周りの情報に惑わされずに、医療機関を受診してほしい
編集部: 現在の体調や生活などの様子について教えてください。 内田さん: 半年ごとに検査を受けていますが、今のところ再発はありません。リンパ浮腫の方も通院中で、弾性ストッキングも毎日履いています。そのおかげか、かなり落ち着いているので、ほぼ以前と変わらない生活を送ることができています。 編集部: あなたの病気を意識していない人に一言お願いします。 内田さん: 知識がない人は「完治したんだ」と思っているかもしれませんが、私にとっては「10年経ってやっと一安心」です。日々ある程度の不安は抱えているものの、あまり理解されていません。 逆に「がんと聞いていたけど、いつまでも元気よね」と陰で不思議がられていたこともあります。「がん=死ぬ」みたいな前世紀の感覚の人もまだいらっしゃいますし、リンパ浮腫に関しても全く知られてないのは辛いですね。 そして、他人の病気に対して知識がないのはしかたがないことですが、軽い考えでアドバイスをされると、当事者は大変困ることを知ってほしいです。 編集部: 医療従事者に望むことはありますか? 内田さん: 医療従事者にとっては山ほどの患者の中の一人でも、当事者にとってはたった一つの身体であり、経験のない大手術です。 私自身は特に問題ありませんでしたが、中には全摘について「その年なら子宮なんかいらないでしょ」という言い方をされた人、リンパ浮腫について「がんを治すためならそれくらいいいのでは」のようなことを言われた方もいるそうです。 医療関係者の方には、いつも「もしこれが自分だったら」という想像力を持って、患者さんと接してもらえると嬉しいです。 編集部: 最後に、読者に向けてのメッセージをお願いします。 内田さん:「がんがわかると怖いから検診に行かない」という人もいらっしゃいますが、わからないほうが100倍も怖いです。早期発見・早期治療がやはり大切だと思います。 がん検診に行くこと、そして何か異常を感じたら自分で判断せずに医療機関を受診してほしいと思います。 そして、がんだと判明したら、ネットの情報に惑わされず、適切な治療を受けることが大事です。記録を残すこともおすすめで、メモや日記、もしくは公開しても良いならブログもいいでしょう。あとでいろんな役に立ちます。