4年半ぶりビザ免除再開。キャッシュレス社会・中国に渡航する際に絶対必要な準備とは
現金はほとんど使われていない
コロナ禍前に中国のキャッシュレス社会を経験していた筆者はおおむね対応できたが、飲食店でレジがない、世界遺産に登録されている観光地でチケット売り場がない状況には驚きを禁じ得なかった。 WeChat Payは中国の銀行口座と連携していないと使えなかった。アリペイは国際クレジットカードと連携できたが、店舗やシステムによっては、中国の銀行口座と連携していないアカウントを受け付けない。深センの地下鉄もそうだった。 仕方なく券売機で乗車券を買うことにしたが、中国人が誰も使っていないので、ほとんどの券売機が「メンテナンス中」となっていた。 初回の利用時に携帯電話の番号を入力し、SMS(ショートメッセージ)でコードを送ってもらうことが必要なサービスも少なくない。中国の携帯番号でないとだめだったり、身分証明書の番号入力欄が外国のパスポートに対応していなかったり、そんなこんなで高速鉄道のオンライン予約システムも、アリババグループの航空券予約システムも使えなかった。 このような不便極まりない状況は昨年7月以降徐々に改善されていった。 今はWeChat Payも国際クレジットカードと連携して利用できる。同12月に中国に行ったときには、高速鉄道のオンライン予約もできた。今は国際クレジットカードと連携しておけば、だいたいのことはアリペイとWeChat Payで支払えるが、小さな店や地方都市では使えない店やサービスもあると聞く。 かといって現金で払おうとすると、お店の人がお釣りを持っていなかったりする。皆が現金を持たなくなり、スリはずいぶん減ったという。
決済アプリと地図アプリの準備を
では今後中国に旅行する人はどんな準備をすればよいか。 必需品と言えるのが国際クレジットカードと紐づけたアリペイ、WeChat Payのアカウント。そして現地の地図アプリ「百度地図」「高徳地図」のいずれかだ。中国ではGoogleのサービスがブロックされているので、Google Mapが役に立たない。一方、中国のアプリを入れておけば、公共交通機関に乗った時に、降りる駅が近づくとお知らせしてくれる。 飲食店や小売店は基本的にアリペイ、WeChat Payの両方が使えるが、公共交通機関や観光スポットの入場券はどちらか一方しか利用できないことがままある。 日本の外食チェーンでもモバイルオーダーの導入が進んでいる。中国は店舗のアプリがアリペイ、WeChat Payの中にぎゅっと収められているイメージだ。日本でモバイルオーダーを使い慣れている人は、中国の買い物や飲食もすぐに適応できるはずだ。 飲食店の注文はテーブルに貼ってあるQRコードを読み取り、メニューを表示して料理やドリンクを選び、注文ボタンを押すのが基本。決済もQRコードを読み取って行う。 2019年に中国でこのシステムを初体験した際は、正直「店員は何をしてるのだ」と思った。店員は料理を運んだりテーブルを片づける以外は客と同じように座ってくつろいでいたからだ。だが写真を見て選ぶことができるし会計金額も逐次確認できるので、使い慣れると外国人にとってはかなり便利なシステムでもある。 カフェもスマホでオーダーして番号で受け取り待ちをするだけなので、一度経験するととても簡単だ。 ちなみに中国人と食事をすると会計時に「私が払う」とレジに行くまで伝票の取り合いになることがよくあったが、今はQRコードの読み取りを巡って争うことになる。筆者が読み取ろうとすると近くにあるティッシュ箱や手で隠されたり、テーブルを引っ張られたりする。自分がおごりたい場合は、QRコードをすぐ読み取れる席に着席しよう。
浦上 早苗