都市郊外のベッドタウンは要注意...プロが教える「1秒でも早く売却すべき家」の特徴
「実家が空き家になったらどうしよう」という悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。放置しておくと様々な問題を引き起こす空き家ですが、その増加は社会問題として深刻化しています。本記事では、空き家の現状と将来予測、そして賢い対処法について、書籍『グレートリセット後の世界をどう生きるか』より紹介します。 【解説】都心のワンルーム物件が投資初心者に向いている理由 ※本稿は、長嶋修著『グレートリセット後の世界をどう生きるか』(小学館)より一部抜粋・編集したものです。
空き家が増加するとどうなる?
ここで、増え続ける空き家問題の未来について触れておきたいと思います。 「実家が空き家になったらどうしよう」とお悩みの方は多いでしょう。あるいはすでに空き家を抱え「売るか、貸すか。どうしようか」と逡巡しながらも何となく決断と行動を先延ばしにして、結果として放置という方もいるでしょう。 上位15パーセントの好立地な不動産であれば、売るもよし、貸すもよし。しばらく放置していても建物のコンディションがよほどひどくなければ何とかなります。 都心・都市部の好立地マンションは、たとえ築50年超えのマンションであっても、そこそこの管理状態であれば普通に流通しています。 一戸建ての場合は、長らく放置すると建物が傷んでいることが多く、雨漏りや水漏れ、あるいは大きく傾いているなど、構造軀体に何らかの問題がある場合はその限りではありませんが、その場合は更地にして売却できる可能性が高いでしょう。 中位70パーセントの不動産は、厳しい言い方になりますが「1秒でも早く売却するのが正解」となります。 典型的なのが都市郊外のベッドタウン。首都圏で言えば東京都心からドアツードアで1~1.5時間、距離にして30~40キロ。相模原・町田・大宮・柏・船橋といった、環状になっている国道16号線内外にある立地の物件です。こうした立地でもマンションで徒歩7分以内、一戸建てで徒歩15分以内程度であれば、賃貸・持ち家とも長期的に一定のニーズが見込めるでしょう。 しかしそれを超えた範囲では、すでにニーズは著しく少なく、さらに5年・10年とたつうちに、周辺に同様の「空き家」というライバルが増えていきます。 こうした立地に多く住宅を求めたのはいわゆる「団塊世代」で、その定義を1947~1949年に生まれた世代とした場合、2024年現在の年齢は、75~77歳ということになります。我が国の平均寿命を考えると、これから空き家増加が必至であることがわかるでしょう。 全国空き家対策コンソーシアムによれば、空き家が増加することで周辺の不動産価格は下落し、国全体の経済損失は2023年までの5年間で3.9兆円に上るとしています。この損失は今後も、空き家の増加とともに増え続ける見込みです。周辺に空き家が増えるほど自身の空き家の価値も下がり、ますます処分しにくくなっていくでしょう。