【瀬古利彦】青学大勝因は「原メソッド」の浸透 2区黒田朝日の「神業」レース運びが象徴
<第101回箱根駅伝>◇3日◇復路◇東京-箱根(5区間109・6キロ) DeNAアスレティックスエリートアドバイザーの瀬古利彦氏(68)が「原メソッド」の浸透を青学大の勝因に挙げた。コースを熟知した2区黒田朝日(3年)のレース戦略を「神業」と表した。駒大は優勝を逃したが、佐藤圭汰(3年)を復路起用した藤田敦史監督の判断を称賛した。 【写真】「神業」レース運びで区間新をマークした青学大・黒田朝日 ◇ ◇ ◇ 青学大の勝因は何と言っても箱根駅伝の勝ち方を熟知していることでしょう。 2区の黒田のレースが象徴的でした。1区10位と出遅れた上、駒大の篠原や国学院大の平林らライバルたちがハイペースで突っ込む中、終盤の上り坂を意識して余裕を持ってスタートした。前半は12位まで順位を下げたけど、焦らずに後半に一気に追い上げて区間新。神業のようでした。 過去7度の優勝で、コースも、選手の性格や適性も熟知している原監督の「原メソッド」が、チーム全体によく浸透していたと思います。選手層が厚く、チームで勝てばいいという余裕を感じました。区間賞5人、勝負どころの5区と6区の山で区間新記録。全選手がミスなく走り切ったことが大きかった。 3冠を目指した国学院大は初優勝への重圧がありました。2区で留学生に食らい付いた平林には「エースの自分が頑張らなきゃ」という気負いを感じました。不安を抱えていた山の2区間で、青学大とは対照的に下位に低迷。初優勝への周囲の期待が高まり、経験のないプレッシャーを感じていたのだと思います。 駒大は総合優勝を逃したけど、故障明けのエース佐藤が7区区間新記録で復活したのはうれしかった。流れを変える力のある選手だけに、勝負を考えれば往路に投入したいところだけど、あえてプレッシャーの少ない復路で起用した藤田監督はえらい。将来日の丸を背負う逸材を、大事に育てたいという思いが伝わってきました。 早大はわずかに3位に届きませんでしたが、5区の工藤が区間新記録の青学大の若林に20秒差に迫る区間2位のタイムで快走して、見事に「迷探偵」から「名探偵」に成長してくれました。2年生の伸び盛りで、来年は区間新が期待できる。山上りにエースがいれば優勝の可能性も高まる。期待したいですね。