三菱 ギャラン・クーペFTO 1600 GSR(昭和48/1973年2月発売・A63型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト076
コンパクトで個性的なスタイリング。走りもランサーに匹敵
この連載では、昭和30年~55年(1955年~1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第76回目は、三菱 ギャランGTOの弟分FTO のフラッグシップ1600 GSRの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より) 【写真はこちら】 ギャランクーペFTO GSRの特別装備は5J専用リムと175/HR13ラジアルタイヤ、リミテッドスリップデフと強化サスペンションなどとなる。スポーツ走行を強く意識した。(全4枚)
ギャランGTOの弟分として昭和46(1971)年10月に登場したのがギャランFTOだった。三菱のハイパフォーマンスカーであるギャランのエントリークーペとして開発され、ファストバックとノッチバックの両方の良さを兼ね備えた、独特のファストノッチ・スタイルを採用しているのが特徴だ。 コンパクトなボディながらロングノーズを強調し、フロントウインドウの傾斜もかなり強い。また、ボディ断面を楕円形に絞り込んだタンブルフォームをいち早く採り入れたのも注目された。 当初はネプチューンと名付けられた4G41型4気筒OHVの1378ccエンジンのみで、GIとGllは 86ps/6000rpm、Glllは95ps/6300rpmの性能だった。だが、モアパワーの声に応えて、昭和 48 (1973)年2月にMCAシステム採用のサターン4気筒SOHCエンジンに換装している。 1.4Lは4G33型を積み、1439ccで92ps/6300rprnを発生。新加入の1.6Lモデルは4G32型を積み、SL-5が100ps/6300rpmを発生した。 そしてフラッグシップの1600GSRには、そのツインキャブ仕様が搭載されている。こちらは 110ps/6700rprn、14.2kgm/4800rprnの高性能を誇り、レスポンスもすこぶる軽快だ。 また、 FRP製オーバーフェンダーやハードに固められたサスペンションなど、スパルタンムードにあふれているのも魅力的。GTOの陰に隠れて人気はイマイチだったが、そのシャープな走りはランサーとともに光っていた。 昭和49 (1974)年10月、保安基準の改正に伴いFRP製オーバーフェンダー付車が廃止となって「素の」GSRとなり、翌年の昭和50 (1975)年3月に生産終了した。