“生きづらさ”抱え被害者意識が増幅、女性を「敵」と見なし攻撃する事態も…「弱者男性」が“闇落ち”せずに苦悩を訴える方法とは
経済・階級の問題にも注目が必要
では、自己否定や被害者意識、女性に対する攻撃や加害などに陥らないようにしながら男性が「生きづらさ」を語ることはできるのだろうか。 杉田氏は「『個人的なこと』と『社会的・政治的なこと』をつねに往復させながら語る必要がある」と指摘する。自分自身が抱える苦悩をそれぞれの男性が個々に言語化することは欠かせないが、男性たちに生じている問題を公共的に訴えることも大切であるためだ。 「現在のメンズリブや男性学は、男性たちが感じている社会的な抑圧や排除について他者に発信し共感を作り出すという側面ではまだ弱いため、アップデートが必要でしょう」(杉田氏) なお、アメリカ大統領選に関しては「リベラル・左派が人種的・性的少数者のことばかり優先して、多数派であるが経済的に困窮している人たちのことを無視していた点が民主党の敗北を招いた」との指摘が多数なされている。 杉田氏も「安易に二項対立で語るべきではありませんが…」としながらも「大統領選の結果を受けて、少数派と多数派のどちらの抱えた問題にも対応する必要があるとの認識が広がっているのでは」と語る。 「アメリカでも日本でも、中間層の人々の『貧困層に転落するのではないか』との不安や、貧困層の絶望感が強まっています。 弱者男性の人々が抱く苦悩も、経済的な要因が大きく影響しています。これからは、ジェンダー問題とつねに一体的に、階級問題にも向き合っていくべきでしょう」(杉田氏)
弁護士JP編集部