余命1年で入院「病院食」のレベルの高さに驚いた 限られた予算で豊富なメニューをそろえる創意工夫
2024年春、ジャーナリストの山田稔(64)さんに膀胱がんが発覚、肺にも転移しており、ステージ4でした。医師が語る病状説明を淡々と受け入れ、がんとの共存の道を選択した山田さんは、抗がん剤治療を経て10月に膀胱の全摘出手術を受けました。本連載(今回は第2回)では、がんと向き合う日々を記します。 【写真を見る】入院中に提供されたレパートリー豊かな病院食 ■CVポート(中心静脈ポート)を埋め込む 「進行性膀胱がん」「ステージ4」「肺に転移あり」「余命1年ちょっと」ーー。そんな厳しい宣告を受けた翌々日、まずは腎機能回復のための手術を行うために、診察を受けた大学病院に入院した。医師の診察室に妻と娘を含む家族3人で入り、主治医から病状、治療方針、予後などについて詳細な説明を受ける。
膀胱内の腫瘍の写真、肺転移の写真など”決定的証拠”を次から次へと見せつけられ、グーの音も出ない。家族も現実を直視し、医師が勧める治療方針に同意してくれた。診察室を出て入院手続きを行い、病室に向かう。家族とはこの段階で別れた。 病室は4人部屋で、廊下側だった。ちょっと閉塞感があるが、部屋自体は9平方メートルぐらいあるだろうか。ベッド、テーブル、冷蔵庫、テレビなどひと通りの設備は整っている。 トイレは部屋のすぐ外にあり広々としていて清潔だ。シャワールームは、廊下をしばらく歩いたところにあり、共同で広々とした施設が2つある。久々の入院生活だが、環境的には十分だろう。と、この時は思ったのだが……。
11時半過ぎ。放射線科で首の左下、胸の上部あたりにCVポート(中心静脈ポート)を埋め込む手術に向かう。この手術は1時間ほどで終了した。これは後々の抗がん剤治療のためだ。 CVポートは、血管への刺激が強い抗がん剤の点滴を行う時に、血管への負担を減らし、痛みを我慢することなく治療を続けられるように開発された医療器具である。これからお世話になります! いったん病室に戻って静養。手術が給食タイムと重なったため、ランチがない。そこで看護師さんが「(病院内にある)コンビニに行くけど、何か食べるもの買うてこようか?」と関西弁で尋ねてくれた。ありがたい。幕の内でも何でもいいからと弁当を頼む。やがて帰ってきた看護師さんはお茶までサービスしてくれた。ありがたい。