Z世代が辞めない意思疎通3カ条 「エモい・早い・わかりやすい」
ここで気を付けたいのが、コミュニケーションのコツの1つ目「承認の語彙力を増やす」という観点から、これらの承認の言葉を、上司が部下に普段からしっかりと伝えられているかどうかということです。そして、まんべんなく3種類のメッセージを使えているかどうかが大切なのです。 私の場合を例に挙げると、どうしてもIメッセージに偏りがちになってしまいます。普段はオンラインでのチャットコミュニケーションが多く、短い文章を頻度高く送ることが必須になります。そうすると、自分を主語にできる「Iメッセージ」が非常に便利なのです。ただ、何かあるたびに「ありがとう」とばかり送っていると、だんだんと社交辞令のようになってしまい、承認の効果が薄れてくる恐れがあります。 そこで、私は意図的にYouメッセージを含めることを意識しています。作業完了報告などに対して「〇〇さんありがとうございます。いつも仕事が早くてとても助かっています」などと具体的な行動とセットにして伝えるようにしているのです。 ただしYouメッセージは、部下の具体的な行動や発言とセットで言わないと嘘っぽくなります。ですから、普段から相手の行動や発言をよく見ておく必要があるのです。Youメッセージをうまく発信できていない人は、ここを意識してください。 Weメッセージは、「みんなが、あなたの仕事ぶりに感謝しているよ」といった内容になります。そのためYouメッセージ以上に、職場の全員から、その若手社員がどう思われているかを意識しておく必要があります。 このように、自身が承認に使う言葉の傾向や癖を知りながら、承認の語彙力を増やしていくことが大切です。 ●雑談力を上げるには問いかけのバリエーションを増やす 2つ目のコミュニケーションのコツ「問いかけのレパートリーを増やす」を考えていきましょう。この「問いかけ力」は「傾聴力」や「雑談力」にもつながります。 例えば最近は、「新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が多かった入社4年目の社員がOJT(職場内訓練)担当になったけれども、新入社員とどうやって雑談していいのか分からない」といったケースが増えています。こういう場面で生きてくるのが、問いかけ力なのです。 では、どのような質問(問いかけ)をすればいいのでしょうか。質問には大きく「オープン質問」「クローズ質問」と「属性情報の質問」「内面情報の質問」に分けられます。これらを組み合わせて、質問を考えていくといいでしょう。 「オープン質問」とは、回答に制限がなく自由に回答できるものです。例えば、「好きな食べ物は?」「楽しい時間は何をしている時?」などです。 そして「クローズ質問」は、回答が「はい」「いいえ」のどちらかだったり、選択肢の中から選んだりするようなもの。例えば「あなたはメロンが好きですか」「テレビを見るのは楽しいですか」といったイメージです。 「属性情報の質問」は出身地や学歴など客観的な事実に関する問いかけで、「内面情報の質問」は価値観や仕事へのスタンスなど、主観的な情報に関する問いかけのことです。 基本的には「クローズからオープンへ」、「属性から内面へ」の順で聞くといいでしょう。例えば「クローズかつ属性」の質問なら、「出身は東京ですか?」といった話題を振ってみてはどうですか。「オープンかつ属性」であれば、「今朝、何食べた?」などは比較的、聞きやすいですよね。 ところが質問の順序を間違えると、部下を嫌がらせる結果になってしまうので、注意してください。例えば、いきなり「オープンかつ内面」の質問である「仕事のやりがい」などから聞いてしまうと、なかなか雑談は盛り上がりませんよね。問いかけのバリエーションを増やし、適切な順序で聞いていきましょう。