高校から変わらぬマッチアップが続く留学生たちが国際経験を積む貴重な機会(大学バスケ・World University Basketball Series 2024)
「相手チームのことは分からないので、いっぱい勉強になりました」ムトンボ ジャンピエール
ジャンピエールも同様に「相手チームのことは分からないので、いっぱい勉強になりました」と昨年の優勝校である国立政治大学(チャイニーズ・タイペイ)を相手に36点、26リバウンドと気を吐いた。国立政治大学には3人の留学生がおり、全員が208cmだが体格やタイプはそれぞれ異なる。ビッグマンを使いこなすガード陣の得点にも苦労した。相手のプレースタイルについて、「みんなシュートがよく入ったし、ガード陣はフローターも結構うまかったですね」とジャンピエールは感想を述べる。 海外の選手とマッチアップしたことで、長きに渡って日本で切磋琢磨する仲間たちと比較することもできた。ジャンピエールは「日本のビッグマンと変わらず、国立政治大学の選手も上手でした」とそのレベルは遜色ない。「もちろん日本にいるビッグマンもスキルはあります。でも、海外の選手はプレースタイルが違いました。その新しい経験ができ、学べる機会になったことが楽しいです」とモンガが言うように、特徴を熟知する日本のライバルとはまた違った相手との対戦は刺激的だった。 日本で活躍するビッグマンたちも将来はBリーグを目指すが、登録は外国籍選手となるために狭き門である。現状は留学実績選手の枠があるB3リーグへ進む選手が多い。または企業チームへ就職し、帰化申請が通った後にBリーグへ進んだカロンジ磯山パトリック(神戸ストークス)やモッチ・ラミン(シーホース三河)などのようなケースもあり、今後の活躍が留学生たちの希望となる。バスケだけではなく、文武両道で勉強にも力を入れる選手は多い。 ラストシーズンを迎えたジャンピエールは先々を見据え、3ポイントシュートを練習してきた。国立政治大学戦ではピック&ポップから放ったシュートは外れたが、フリーとなった第4クォーターにしっかりと決めて見せた。「これからリーグ戦でどんどん打っていきたい」とジャンピエールが外に広がることで、日本体育大学のバスケもまた進化しそうだ。 昨年のFIBAワールドカップと先ほど終えたオリンピックに出場した南スーダンをはじめ、アフリカンバスケが世界で飛躍しはじめている。規律正しいプレーかつ洗練されたスタイルが魅力的であり、脅威でもある。南スーダンを率いるロイヤル・アイヴィーヘッドコーチは、ヒューストン・ロケッツのアシスタントコーチ。脇を固めるNBAオールスターのルオル・デン、そして日本でもプレー経験あるジャーフロー・ラーカイのコーチ姿に驚かされた。他にも、京都ハンナリーズのロイ・ラナヘッドコーチはエジプト代表を、ライジング福岡や秋田ノーザンハピネッツを指揮したジョゼップ・クラロスヘッドコーチはアンゴラ代表を率い、日本に縁あるコーチがアフリカでも活躍している。 アフリカの血を引く選手たちが極東で活躍していることは、それぞれの故郷に届いているのだろうか。WUBSを通じて発信され、留学生にとっては小さな日本に留まることなく、世界へ羽ばたくきっかけになれば良い。
泉誠一
【関連記事】
- 高校から変わらぬマッチアップが続く留学生たちが国際経験を積む貴重な機会(World University Basketball Series 2024)
- 学生選抜に選ばれた関東大学1部リーグ以外の選手たちが残した爪痕(World University Basketball Series 2024)
- 悔しい7位に終わった白鷗大学のスタートライン(World University Basketball Series 2024)
- 白鷗大学が関東大学オータムリーグ初優勝も通過点。インカレ2連覇への期待を背負うギバキャプテンの大きな背中(関東大学オータムリーグ2022)
- 「高校とは全然違う高いレベルでチャレンジできることが楽しい」大学バスケの魅力(日本体育大学 ムトンボ ジャンピエール)