新潟の「糖尿病」死亡率が増加傾向 専門医に聞く傾向と対策 予防、重症化防止が重要に 深層リポート
新潟県内の糖尿病の死亡率(人口10万人当たり死者数)は、ここ10年で約2割上昇し増加傾向にある。一方で県内の糖尿病専門医は人口10万人当たり3・67人(12月2日現在)で47都道府県中43番目と少ないため、糖尿病の予防と重症化防止が重要になってくる。専門医の一人、吉岡内科クリニック(同県上越市)の吉岡大志院長(40)に糖尿病の〝傾向と対策〟を聞いた。 【画像】持続的に血糖値の変化を見ることができる血糖測定器「FreeStyle リブレ2」の画面 ■「予備軍」でもリスク 国内の糖尿病患者は、糖尿病の可能性を否定できない予備軍も含め約2千万人いるとされる。国民の6人に1人が患者か予備軍となる計算だ。 厚生労働省の直近の患者調査(令和2年)では、新潟県内在住者で糖尿病で入院した患者は約200人、通院した患者は約3300人の計約3500人だった。予備軍を含めると、人数はさらに増えることになる。 その予備軍について、吉岡氏はこう警告する。 「予備軍というと軽くみてしまいがちだが、血糖値の高い状態が続くと全身の血管にダメージを与え、血管の老化である動脈硬化を生じる。これにより、心臓や脳などの血管の病気になりやすくなる。また、予備軍から糖尿病を発症して進行すると、神経症や網膜症などの合併症を起こすおそれもある」 最悪の場合は死に至ることになる。気になるのは県内の死亡率が上昇傾向にあることだ=グラフ参照。人口10万人当たりの糖尿病による死者数が平成26年の12・6人から、令和5年には約2割上昇し15・2人となった。原因は不明だが、予防と重症化防止の重要性が増している。 糖尿病には2つのタイプがある。免疫異常やウイルス感染などが原因とされる「1型糖尿病」と、遺伝的な要因に運動不足や食べすぎなどが加わり発症するとされる「2型糖尿病」だ。国内の患者の95%以上が2型といわれる。 ■飲食の仕方に注意 2型の予防と重症化防止について、吉岡氏は「新潟は魅力的な食べ物やお酒が多くある一方、秋から冬にかけて悪天候の日が多くなる。食事と運動不足解消に工夫が必要」と指摘。次のような生活習慣の改善を推奨する。 朝、昼、晩の食事をゆっくり噛んで食べる▽野菜、海藻など食物繊維を多く含むものを食べる▽腹八分目でストップ▽寝る前に食べない▽野菜→汁物→主菜→ご飯の順番でバランスよく食べる▽飲酒はほどほどに-などだ。