【選手権】前を向かせない守備で初戦突破 高知、2-0で専大北上に完封勝利
12月29日、第103回全国高校サッカー選手権大会2日目が関東各会場で行われ、さいたま市にある浦和駒場スタジアムでは高知(高知)が2-0で専大北上(岩手)を下して2回戦に駒を進めた。 【フォトギャラリー】専大北上 vs 高知 前半12分、高知はDF 3中城夢良(3年)のパスを受けたMF7市原大羅(3年)が右足で押し込み先制。さらに後半25分にはMF7市原のパスを受けたMF10 門田翔平(3年)が追加点をあげ、専大北上を引き離し勝利した。 高知の大坪裕典監督は「高知県勢が勝ち上がることが難しいなかで大きな収穫になりました」と2009年度大会以来の初戦突破とあって喜びもひとしおだった。 内容は高知のプラン通りと言っていいだろう。高知はロングボールとロングスローで相手に圧力をかけ続けた。特にロングスローは1ゴール1アシストのMF10門田とともに、大きく力強い放物線を描くハンドスプリングスローの使い手MF6西森吏玖(3年)が脅威を与え続けた。一連のロングスローを用いたセットプレーは指揮官の指示ではなく、選手間で編み出されたもの。 「選手たちが日頃から話しながら主体的に楽しんで、デザインしています。こちらは基準だけを与えて、選手が判断してやっていますし、選手には主体性を求めています」(大坪監督) シュート数は専大北上の倍の10本と圧倒した要因がこの点にもありそうだ。 とはいえ先制した直後、危ない時間帯があった。息の合ったパスワークから崩しにかかる専大北上に対し、高知は前半17分、CKからのシュートはポストの根元を直撃。続く前半19、23分頃にはペナルティエリア内で混戦状態を作られるなか、身体を張った守備で辛くも防いだ。 その後、専大北上の連係ミスも手伝い、比較的、安定した試合運びができたのは前を向かせない守備ができたからこそ。 高知・大坪監督は「専大北上さんの攻撃のスピードや逞しさに押し込まれるシーンはありました。しかし攻撃だけでなく、守備からもアクションを起こすことを徹底しています。その点が前を向かせない守備がつながりました」と明かした。相手に攻撃させないよう、ボールに、人に圧力をかけ続け、何もさせず、且つペナルティエリアになるべく近づけさせない徹底した守りができた。加えて高知の2トップ、FW10門田、FW14松田翔空(2年)の存在にも触れ「(2トップは)チームを支えてくれる存在。今日は守備で貢献してくれました。2人のハードワークのおかげで自由にボールを出させませんでした」と貢献度の高さを語るなど、前線・中盤・最終ラインと統一された粘りのある守備が功を奏したといえる。 ただ初戦の堅さがあったのだろう、大坪監督からは「崩しの部分でやりたいことはありましたが、なかなかやらせてもらえない展開でした」と本来の攻撃サッカーを披露しきれなかったようだが、複数得点で無失点と上々の1回戦突破となった。 「全国制覇が大きな目標なので一喜一憂せず、次の試合を見据えていきたい」と表情を引き締めた高知・大坪監督。なお2回戦、高知は12月31日、浦和駒場スタジアムで静岡学園(静岡)と対戦する。 (文・写真=佐藤亮太)