なぜセレッソ大阪は控えに回る機会の増えた柿谷曜一朗の一発で15年ぶり6連勝を果たしたのか?
ロティーナ監督は[4-4-2]の基本フォーメーションのもと、過密日程のなかでもメンバーをほぼ固定して戦ってきた。2トップの一角にはベガルタ仙台やV・ファーレン長崎ではボランチを本職としていた奧埜が重用され、2列目の主力を清武と坂元が担うなかで上位につけてきた。 しかし、マリノス戦から中2日で迎えたヴィッセル戦で、ロティーナ監督は2列目を入れ替えた。いわゆるターンオーバー制が取られ、清武と坂元が最後までベンチで戦況を見つめていたなかで、柿谷はいま現在の自分自身が置かれている状況をしっかりと理解していた。 「普段出ている選手たちが、しっかりと休めたことがよかった。いままで出ていなかったメンバーが、しっかりと準備してこの連勝を止めないように。退場者が出たことでちょっと難しくなりましたけど、川崎に追いつくにはこういう試合でも絶対に勝たなければいけなかったので」 川崎フロンターレが異次元の強さで首位を独走しているが、セレッソもシーズンの折り返しを迎えて勝ち点39と、本来ならば特筆すべきペースで追走している。敵地・等々力陸上競技場に乗り込んだ前半戦の直接対決は2-5で大敗したが、それでも現時点で勝ち点差は5ポイント。リーグ最少の14失点を誇る堅守をベースに、フロンターレに敗れた後に白星を6つ並べてきた。柿谷が声を弾ませる。 「正直な話、川崎はなかなか落ちてこないというか、もう止まらないと思っています。だから、僕たちが差を埋めるには勝っていく以外にない。僕たちがくっついていかないとJリーグも面白くないと思うので、チーム一丸となってちょっとでも詰められるようにできればいいかな、と」 19日には再び中2日で5連勝中の鹿島アントラーズを、ホームのヤンマースタジアム長居に迎える。この日は試合がなかった休養十分の常勝軍団と対峙する上で、清武と坂元を温存できた意義は大きい。そして、都倉が出場停止になるなかで、初ゴールをあげた柿谷自身にも期待がかかる。 「連戦を全員の力で乗り切るということを、この1年間は大事にしていこう、という話をしていた。誰が出てもいい準備ができている状況のなかで、今日は一人少なくなった分だけみんなで走り切り、守り抜いたなかで、チャンスが僕のところに来ただけだと思っているので」