「音楽を助けてください。次世代が危ない」亀田誠治さんの懸念と挑戦 文化を創る「新しい循環」目指す日比谷音楽祭
―ジャンルも世代も多彩な顔ぶれです。 亀田さん 出演者の人選をどれだけ幅広くできるか、がとても大切です。有名アーティストがもたらす安心感、夢、「時代」を動かす力は絶大です。そうした音楽が、会場で、あるいはオンラインで、無料で届けられる。2019年の第1回以来、5年かけて毎回、丁寧に日比谷音楽祭の方針を説き、何をやろうとしているのか、そのメッセージを発信してきました。人々の心に浸透し、広がってきたと実感しています。 ―無料の方針はぶれませんね。 亀田さん 2019年にスタートする際、「協賛と寄付だけで無料開催するなんて、絶対に無理。やめた方がいい」と多くの関係者から助言されました。でも、お金の新しい循環の仕組みを、日本の音楽業界に文化として定着させることが重要です。無料を実現させるため国や東京都の助成、企業協賛、そして個人の寄付のお願いに奔走してきました。 ▽なぜトップミュージシャンが?
―コンサートの入場料を含め、あらゆるモノの値段が高くなっている時代に、あえて無料にしなければいけない理由は何ですか? 亀田さん 日比谷公園大音楽堂(野音)の一つのステージに、紅白・アリーナクラスのトップミュージシャンたちがいっしょに上がるのはとても貴重な機会です。それは、無料開催で社会と音楽文化に貢献しようという日比谷音楽祭の私利私欲のなさ、「清廉(せいれん)性」が受け入れられたから、というのも大きいと思います。「無料でがんばっているのだから力を貸そう」と集まり、すばらしい音楽を創造してくださいます。 【2019年には演歌の石川さゆりさんとギタリストの布袋寅泰さんが名曲「天城越え」を歌い、演奏した。2023年には、バンド「Mr.Children」のボーカル桜井和寿さんが自作した曲「雨が止んだら」を、ミュージカル俳優の井上芳雄さんらと合唱した】 ―ジャンルの壁を取り払った共演が話題となりました。日比谷音楽祭ならではですね。