【NBA】すべてはサンズを機能させるため、控えに回ってもブラッドリー・ビールは笑顔「コーチの判断は尊重されるべき」
ベンチからチーム最多の25得点、チームの連敗を止める
ブラッドリー・ビールはシックスマンとしてサンズに勝利をもたらし、連敗を4で止めた。ビールが加入して2年目を迎えたサンズは開幕から8勝1敗と好スタートを切ったが、その後は7勝17敗と失速。ビールは17.8得点とスタッツは残しているが、ケビン・デュラントとデビン・ブッカーを擁するチームでは3番手のオプションで、人々の目は彼のオフェンスよりも『ディフェンスができない』ことに向く。 指揮官マイク・ブーデンフォルツァーはラインナップ変更を決断し、現地1月6日のセブンティシクサーズ戦で、ビールとユスフ・ヌルキッチをベンチに回した。このことも人々は、「ついにサンズがビールを見放した」と受け止めた。 ビールにとってベンチスタートは、若手だったキャリア初期以来の出来事であり、3度のオールスターに選出された経歴を持つ選手にとって屈辱的な決定だったことは間違いない。 だが、彼は自分の感情をコントロールした。立ち上がりからシクサーズのオフェンスが好調で、3ポイントシュートが高確率で決まり、それをケアすればドライブで切られてダンクにまで持っていかれ、試合開始から5分でビールが呼ばれた時には3-14と2桁の差がついていた。先発に抜擢されたルーキーのライアン・ダンと交代したビールは笑顔でコートを駆け上がった。 シクサーズのシュートタッチの良さが序盤だけに留まったこともあるが、ビールが入り、その直後にヌルキッチも投入されるとサンズの動きから固さが取れた。ここからチームは反撃を開始し、第3クォーターに逆転。109-99の勝利を収めた。 ビールは30分の出場でチーム最多の25得点に加え、3リバウンド5アシストを記録。笑顔を見せながらプレーを楽しみ、オフェンスで自分の持ち味を発揮した。 試合後のビールは「人生には逆境が付き物だけど、神が僕を守ってくれた」と語る。ベンチスタートは「少し難しかった」と率直な心境を明かすが、それを問題にはしないつもりだ。 「別にリスペクトを欠くとは受け止めなかった。自分が先発であるべきだとは思うけど、コーチが判断した以上はそれが尊重されるべきだし、それに対して文句を言ったり邪魔をしたりはしない。僕はチームに必要とされれば、それが何であれ喜んでやる。いつだってそのつもりでいるよ」 シビアな見方をすれば、ジョエル・エンビードがコンディション調整のため欠場したシクサーズに勝ったことでサンズの抱える問題がすべて解決するわけではない。ビールが活躍した代わりにデュラントとブッカーの出来は低調で、先発に抜擢されたダンとメイソン・プラムリーの出来もいまいちだった。ビールもディフェンス面の課題はいまだに抱えたままだ。 それでも、この試合でビールが見せたパフォーマンスは素晴らしいもので、コーナーに待機していたかと思えば次の瞬間にはポジションを変えてパスコースを作り出し、豊富な運動量でディフェンスを混乱へと陥れて、シュートもパスも適切な選択肢を選んでチームオフェンスを活性化させる。自らの得点はもちろん、彼が投入された後にチームのシュートタッチが良くなり、3ポイントシュート31本中14本成功(45.2%)と効率良く決まったのは、彼のリムアタックがシクサーズの守備陣に圧力を掛け続けたことの効果だ。 そして何より、先発を外されたことに彼がネガティブな反応を見せればチームは空中分解していたかもしれない。十分すぎるほどの実績を持った彼が自分ではなくチームを優先する姿勢を見せたことが、サンズがここから立ち直るきっかけになるかもしれない。 ビールには自分が先発すべきだというプライドがもちろんある。だが、機能しないチームを変えるきっかけが必要だとの判断を受け入れ、あくまでチームファーストで行動しようとしている。彼はまだサンズの可能性をあきらめてはいない。 「僕らは上手く機能し始めようとしているところで、まだ完璧ではないからもう少しみんなには我慢を強いるだろうけど、このチームには間違いなく可能性があるんだ」