【毎日書評】いま求められる最強リーダーの条件は?DX人材育成のヒント
『リスキリングが最強チームをつくる 組織をアップデートし続けるDX人材育成のすべて』(柿内秀賢 著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者は、リスキリング支援サービス「Reskilling Camp(リスキリングキャンプ)」というサービスを運営している組織の代表。 とくに、業界全体がデジタル化による影響を受けている企業に対し、DX人材を育成するカリキュラム設計や、「伴走型の学習メソッド」を通じ、デジタル人材の社内育成と組織変革を支援しているのだそうです。 ところで、もしかしたらリスキリングには“個人のキャリアアップの学びなおし”といったイメージがあるかもしれません。しかし注目すべきは、著者が「いま求められているのは“組織を変革するリスキリング”」だと断言している点。 経営や人事の掛け声だけ、個人の学びなおしを促すだけでは、変化に強い機動力のある組織になることは不可能だというのです。 リスキリング成功の原動力となるのは、現場のチームをマネジメントできるリーダーであること。「人事」「DX推進室」「経営企画」など特定の部署だけではなく、営業部門、開発部門、IT部門なども含め、組織を担うあらゆるチーム・組織のリーダーのマネジメントが、組織全体のリスキリングとDXの成功のカギを握っていると解釈できるわけです。 それぞれの部署やチームを統括し、事業そのものの理解も深い。メンバーの強みも理解している。 組織の目的も理解し、導く力もある。部署間の価値観やスキルの違いを乗り越え、プロジェクトを推進することができる──そのようなリーダーが、課題を乗り越え、新しいスキルを身につけ、組織を変革していきます。 本書では、このマネジメントスキルを「リスキリング・リーダーシップ」と名づけ、解説していきます。(「はじめに リスキリングの成功は、チームリーダーのマネジメントがカギを握る」より) 著者が本書を通じて提供しているのは、「マクロな視点での課題、組織で起こる課題などをリアルな視点で検討し、実際のサービスの成果に基づいたノウハウ」。きょうはそのなかから、第2章「リスキリング・リーダーシップ」に焦点を当ててみたいと思います。