「中絶できず…苦しんだ」アメリカを二分する人工妊娠中絶問題 大統領選の有権者50%以上が関心【news23】
クロエさん 「心が折れました。主治医の先生もとても悲しんでいました。誰もそんなことを患者に告げたくないですよね」 “中絶が合法な州”を探し、車で13時間ほどのコロラド州の病院で手術を受けることを決意。足りない手術の費用を集めるためSNSで寄付を募りましたが「赤ちゃんを殺すくらいなら自殺しろ」「おまえに母親になる資格なんてない」など、中絶に反対する保守派の人々が、クロエさんや病院を脅迫。手術を断念せざるを得なくなりました。 クロエさん 「娘を助けられず何もできなかったのが本当に本当につらかった」 クロエさんは約3か月後、赤ちゃんを出産。しかし、自力で呼吸をすることもできず44時間後、ホスピスで息を引き取りました。 クロエさん 「何もできないまま苦しんだ二日間は正気でいられなくて私も赤ちゃんも傷つきました。赤ちゃんが経験しなくていい、多くの痛みを味わわせてしまった」 ■“妊娠中絶” 争点に 支持拡大は?両陣営の狙いは? この問題をめぐる両候補の立場は対照的です。 ハリス氏は「女性が中絶を選択できるよう『全米統一の法律』を設けると宣言、“中絶の権利”について積極的に訴えることで最後の支持拡大へつなげる狙いがあります。 一方、トランプ前大統領は「中絶はもはや争点ではなくなった。移民・経済こそが本当の争点だ」と述べました。 共和党を支持する保守派の一部は、宗教上の理由などから中絶の全面禁止を求める人も多いため、トランプ氏は「州ごとの判断に委ねるべき」と述べるにとどまり、争点として取り上げることを避けています。 現在、妊娠15週以降は“中絶禁止”のアリゾナ州では大統領選と同日に『妊娠24週ごろまでの“中絶の権利”』を問う住民投票を実施する予定です。 世論調査(※)では52%が「賛成に投じる」と回答していますが、その一方で支持率は拮抗しています。(※CBSニュース調査・10月18日発表) クロエさんは「すべての女性が自由に選択できる世の中になって欲しい」と願っています。