鹿島×横浜FM戦 敗れた横浜FMキューウェル監督が激怒した2つの判定【サッカー「レフェリー問題」の元凶】(1)
■「あんなのありか?」と思わせるプレー
そして、もう1つキューウェル監督が異議を唱えたのが、後半アディショナルタイムのスローインの場面だった。 57分の同点ゴールの後、右サイドバック濃野公人のゴールで鹿島が逆転。さらに、FKからのボールを関川郁万が頭で決めて鹿島が3対1でアディショナルタイムに入っていた。 そして、横浜FMは94分に1点を返すことに成功した。交代で投入された宮市亮のクロスを同じく交代で入った植中朝日が頭でねじ込んだゴールだった。 横浜FMはすぐにボールをセンターサークルに戻して、同点ゴールを目指した。すると、97分に横浜FMにスローインのチャンスが生まれ、加藤聖がロングスローを狙った。そのスローインの瞬間、鹿島の須貝英太が加藤の目の前でジャンプしてスローインを妨害したのだ。 その場面も、スタンド記者席から見ていて、「あんなのありか?」と思ったが、木村主審はそのままプレーを流したのだ。 タッチライン際ではキューウェル監督が第4審判や副審に抗議を続け、試合終了後にはセンターサークル付近にいた木村主審に詰め寄って、キューウェル監督に対してイエローカードが突きつけられた。 そして、記者会見の席でも、キューウェル監督は判定に対して不満を露わにしたのだ。
■勝者も「レフェリーに惑わされるな」と注意
まあ、負けた監督が判定に異議を唱えるのは不思議ではない。 だが、勝利者だった鹿島のランコ・ポポヴィッチ監督も記者会見の席でレフェリーの判定について言及した。 ポポヴィッチ監督は、どの試合でも判定に対して激しく反応するので有名だ。タッチライン際を走る副審や第4審判に対して、絶えず大声で異議を唱えている。 「でも、今日は勝利したのだから、何も言わないだろう」と思っていたのだが、やはり判定について言及した。「私はいつも感情的と見られているが、リスペクトは欠かさない」と、イエローカードを受けたキューウェル監督に対してチクリと皮肉を浴びせた後、「不利なジャッジがあっても、それに影響されてはいけない。ハーフタイムには選手たちに『レフェリーに惑わされるな』と注意した」というのだ。 キューウェル監督が異議を唱えたハンドの場面も、スローイン妨害の場面も、直接、得点に結びついた(あるいは、得点が取り消された)場面ではなかった。それなのに、なぜキューウェル監督はあそこまで激しく反応したのか。そして、勝利したポポヴィッチ監督までもが、なぜわざわざレフェリングに関して言及したのか……。 それは、問題になった場面だけでなく、90分を通して判定基準が揺れていたことで、選手も監督も、そして観客もストレスを感じ続けていたからだったに違いない。
後藤健生
【関連記事】
- ■鹿島×横浜FM戦 アンデルソン・ロペスに出て鈴木優磨に出なかったイエロー【サッカー「レフェリー問題」の元凶】(2)
- ■【映像】鈴木優磨の同点弾の裏にハンド疑惑【鹿島アントラーズ×横浜F・マリノス】白熱の一戦
- ■【サッカーにVARは本当に必要か】検証(1)母国で「廃止論」、三笘の「1ミリ」と新潟VS柏戦「トラブル」、レフェリーの「起源」
- ■浦和レッズ他「4チーム出場」クラブW杯と「苦戦中」の横浜FM、「本気」の川崎F【横浜FM準優勝「勝負の分かれ目」とACL「今後の戦い方」】(3)
- ■2度のPK 、GKポープ・ウィリアム退場「レフリーに壊された」決勝第2戦【横浜FM準優勝「勝負の分かれ目」とACL「今後の戦い方」】(1)