金融サービスにおける生成AIの活用、最適運用モデルが明らかに ポテンシャルを最大化する方法とは?
生成AIの可能性の最大化のカギとは
こうした生成AIの可能性を最大化する上でカギとなるのが、その運用方法であるということがマッキンゼーの最新調査で判明している。 同社が欧米の大手金融機関16社を対象にした同調査では、50%以上が中央集権型の運用モデルを採用。生成AIソリューションのチームを中心に、戦略の策定から実行まで一元的に管理することでAIチームのスキルや能力の構築も最速で可能になり、金融サービスにおける生成AIは非常に初期段階であるものの、最大の成果を上げているようだ。 高度に中央集権型の運用モデルを採用している銀行とその他の金融機関は、その70%がユースケースを実働環境に導入しており、分散型の運用モデルを採用している機関の導入率30%と大きく差をつけている。これは、一元化された運用が試験的段階から問題の解決、よりチャレンジングな環境での実働へと迅速に進むことができる一方で、分散型はパイロット段階から本格稼働へ移行する段階で苦心しているからとのこと。生成AIの急進によって金融サービス各社は、進化し続ける技術の能力や未踏のリスク、広範囲にわたる組織的意義に取り組むため、運用モデルの再考を強いられている。 同社が開催した最新のフォーラムでは、90%以上の金融機関がリソースの適切な配分や運用リスク管理に中央集権型の生成AI機能を設定していると回答している。また20%の機関が、生成AIの戦略的運用、スタンダードの設定、そして実行に高度に中央集権型の運用モデルのアーキタイプを利用しているとしている。約30%は中央集権型で、意思決定は中央、実行は事業部門という方法、別のほぼ30%が事業部門主導型で、中央集権のモデルはスタンダードの設定のみを行い、各部門が戦略に沿って実行を任されている形。残りの約20%の機関が高度に分散型のアーキタイプを利用している。この分散型利用は主に、自立した生成AIの取り組みに自社で十分なリソースを集めることができる大手の金融機関が当てはまる。 ただし、分散型よりも優勢な中央集権型の運用モデルにもフリクションが無いわけではない。戦略的ロードマップや資金調達メカニズム、人材プールなどで不一致が発生しやすく、これまでも運用モデル採用の主な障害となっている。金融機関の重要なリソースの喪失の恐れやオペレーションの優先事項を見落としてしまう恐れがあるからだ。 また、すでに生成AIの活用に成功している金融機関には、迅速にプロセスを再構築したり、柔軟にリソースを集約したりできる、高度な組織のアジリティがあることも判明している。こうした組織の生成AIチームのアジリティによって、ユースケースの早い段階からクラウドエンジニアやビジネスドメインの専門家、リスクとコンプライアンスの担当者を関与させることができるためであり、これが成功のための重要な要因だということがわかっている。これは、生成AIの非常に反復型の開発プロセスと、アプリケーションのスケーリングに関する予期せぬ、または推測される潜在的な意味を考慮する必要があることという、2つの要因によるものだ。