【特集】「心臓病の子どもを救いたい」小説『下町ロケット ガウディ計画』が現実に!モデルとなったメーカーと医師、異色の開発チームの挑戦 業界の“タブー”を破る発想の転換でたどり着いた、小児医療の新たな可能性
(福井経編興業 高木義秀社長) 「大阪医科大の根本って言う先生から電話があって、『僕は小児心臓外科医です』と『毎日のようにオペを子どもにやっているけども使い勝手も悪いし、我々が本当に今欲しいものを一緒に一回作りませんか』という話になって」 命にかかわる医療機器の開発は、不具合を起こした場合、訴訟などのリスクも伴います。根本医師は高木社長に「一度手術を見に来てほしい」とお願いしました。 (高木社長) 「本当に先生の“ゴッドハンド”っていうとあれですけど、神の手で。すごいなドクターっていうのと、それ以上に子どもたちがこれに耐えたというのがすごいことですよね。あれを見た時に、これはもう仕事というのではなくて、こんな手術を二回も、ぼくら見るだけでも涙が出るような頑張りをやってる、それを二度と起こさせたくない。みんなを助けたい、という気持ちがものすごくここで思いました」
2014年、繊維メーカーによる医療分野への挑戦が始まりました。生産管理部の櫻井さんは、技術を見込まれ開発メンバーに選ばれた1人です。 (開発メンバー 櫻井潤さん) 「根本先生だったりとかから、こんなものを作ってほしいという依頼があって、それに対してけっこう無理難題といいますか、そういうことがあって…」
シンフォリウムに求められたのは、「組織になじむ素材であること」・「体や心臓が大きくなるのに合わせて、パッチが2倍ほどのサイズに伸びること」・「強度を保つこと」でした。
(開発メンバー 山田さん) 「実際作ってみたら糸に戻っちゃうという症状が出て。これじゃダメだよねと」 大きく伸ばすと強度が足りず生地の状態を保てない。強度を上げると、今度は大きく伸びない。作っては失敗を繰り返す中、開発は時間との戦いでもありました。 (山田さん) 「いつまでに作らなくちゃいけない、とかいろいろあったので」 高木社長はシンフォリウムの開発に必要な無菌室を作るなど、多額の設備投資も行っていました。早く実用化しなければ、開発費用がかさみ回収するのが難しくなります。また、子ども用の医療機器は患者の数が少ないため、実用化しても利益になりにくいと言われ、参入する企業はわずか。それでも、彼らは諦めませんでした。
【関連記事】
- 【特集】国内の患者数わずか100人…どんな症状が出るかわからない難病・クリーフストラ症候群 「安全上の理由」と入園も一時見送りに…知られていない故の困難と闘う親子
- 【深堀特集】奈良のシカは“神の使い”か“害獣”かー 深刻化する被害に農家悲鳴「せっかく1年かけて育てたのに…」一方、保護施設では相次ぐ衰弱死 “両立”求める現行制度が破綻の危機、求められる打開策は?
- 【特集】『ガガガSP』人気絶頂の裏で戦っていた酒と睡眠薬、2つの依存症…コザック前田さんの紆余曲折な音楽人生 今だからこそ…歌に込める魂のメッセージ「死ぬまで生きてやろうじゃないか」
- 【特集】家族と戦国武将を愛するアメリカ外交官に密着!相手の立場に立ち、粘り強く、理解を深める…日米の“食の懸け橋”となり奮闘する日々
- 【特集】ビール業界の救世主!?いま、じわじわ人気上昇中の「クラフトビール」お酒を飲まない人にも選ばれる魅力とは?ヒットのウラにはメーカー同士の協力も…一時のブームに終わらない勢いの裏側