【特集】「心臓病の子どもを救いたい」小説『下町ロケット ガウディ計画』が現実に!モデルとなったメーカーと医師、異色の開発チームの挑戦 業界の“タブー”を破る発想の転換でたどり着いた、小児医療の新たな可能性
加藤廉基君(取材時15歳)は、先天性心疾患があり心臓の弁の代わりにパッチを使って命をつないできました。廉基君が初めて手術を受けたのは、生後13日のこと。当時の写真を観ながらお母さんが振り返ります。 (母親) 「廉基君とこれが初めてのご対面。本当は入ったらあかんねん、子ども。でも、根本先生が『お兄ちゃんたち見てないでしょ』って『いいですよ、連れてきて』って」
それから15年が経ち、廉基君が高校1年生になった2023年6月、2回目の手術の日が訪れました。パッチを交換する手術は、再び胸を開くため痛みを伴い、一時的に心臓をとめるなど負担も大きくなります。廉基君は、医師や看護師から説明を受けるたびに何度も涙を流したといいます。 (母親) 「麻酔が効くまで、『お母さんそばにいていいですよ』って言って。ずっと手を繋いで麻酔が終わってから私は退室しました。今回根本先生がこういう先天性の子どものために開発してくださって、例えば、生きている間5回手術をしないといけないところを1回だけでも減らせる、4回で済むかもしれない、それだけでも本人の負担も少ないだろうし、私達の気持ちも怖さも減るというか…」
「結構無理難題があって…」中小繊維メーカー、大手化学メーカー…医師の“熱意”に応えた人たち
子ども用の医療機器開発を題材にした小説があります。題名は「下町ロケット ガウディ計画」。心臓に病気がある子どもを救うため、医師と中小企業が壁を乗り越えながら医療機器の開発に奮闘する物語です。小説に登場する中小企業のモデルとなった実在する会社が、繊維の産地・福井県にあります。
繊維メーカー「福井経編興業」は2024年で創業80年となる。社員の数は約90人、ニット生地の国内生産量は業界トップレベルで約2割のシェアを占めます。高い技術が評価され、その生地はラグビー日本代表のユニフォームにも採用されました。しかし、外国製の安価な生地に押され、会社の先行きを案じていた10年ほど前、社長は一本の電話を受けました。
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