【高校サッカー選手権】浦和東、埼玉栄に競り勝ち公立勢として唯一準々決勝へ
第103回全国高校サッカー選手権埼玉予選は10月26日、埼玉スタジアム第2グラウンドなどで3回戦8試合が行われ、ベスト8が決まった。インターハイ(総体)予選8強の浦和東は、前回大会ベスト16の埼玉栄に2-1で競り勝ち、公立勢として唯一準々決勝に進んだ。11月2日に関東高校大会予選を制した正智深谷と対戦する。 【フォトギャラリー】 浦和東 vs 埼玉栄 浦和東は埼玉栄と同じ4-2-3-1の陣形で臨んだが、中盤では相手にボールを持たれて守勢に回る時間が多かった。平尾信之監督は「緊張というか、(準々決勝の会場となる浦和駒場)スタジアムに行きたいという意気込み、力みがあって硬くなりました」と動きが悪かった序盤について説明した。 それでも持ち味である1対1の厳しい応対、ボールへの素早い寄せを継続させて決定的なシュートはほとんど打たせなかった。 守備でリズムをつかんでいた前半25分、スピード豊かなに攻め上がった右SB菅野琉(3年)が鋭いクロスを上げると、MF村山拓巳(3年)がDFと競り合ったこぼれ球をボランチ河原塚悠太(3年)が豪快に蹴り込んで先制した。34分にはMF田中涼賀(3年)が強烈なシュートを放ったが、GKに捕球されて加点できなかった。 1、2回戦で計11点を挙げている埼玉栄は、FW加藤佳大やMF小谷野珠羽(ともに3年)ら昨年の経験者が5人先発。攻撃陣には強さ、うまさ、速さが備わり多彩なパターンで敵陣を襲った。ただ相手の守備を完全に崩し切ってからの一撃はほとんどなく、前半22分小谷野の右クロスから加藤が左に外したのが唯一の決定打だった。 浦和東の前半のシュートは2本で、後半も3本とチャンスは少なかった。そんな中でもひとつ取り切れるのだから、勝負強いチームだ。それまで絶好の得点機が1度もなかった後半34分、左SB大木成柘(3年)が田中の蹴った右CKをファーポストからヘッドでたたき込み、決勝ゴールをものにした。 埼玉栄は後半15分にMF嶋家礼人(3年)が、FKを直接狙ったがわずかに左へ外れ、38分にはFW西嶋心汰(2年)が正面から打ったが、GKの正面を突いてしまう。しかし39分にDF川島大翔(3年)が左から好クロスを配給すると、加藤がヘディングシュートを決めて1点差とし終了直前には左CKを得たが追い付けず、押し気味に試合を進めながらも1点しか奪えなかった。 決勝点を挙げた大木は、今年2月にMFからSBに転向。「本当は自分がニアポストを任され、ファーに入る予定だった石﨑(陽太郎=3年)がジャンプできないというので変更したんです。これがうまくいきましたね」と会心の初得点に破顔一笑。 6月の総体予選まで、守備陣形は3人か5人で守り勝ってきたが、夏場から攻撃力向上のための練習に時間を割き、8月の和倉ユース大会で優勝した日大藤沢(神奈川)や興國(大阪)などの強豪と対戦し、自信をつけたそうだ。 平尾監督は「悪い内容でも点を取れて勝てたのは成長した証拠。何とかベスト8までつれていきたかったので、正直ほっとしています」と3年ぶりの準々決勝進出に安どの表情を見せた。 トップ下で攻守に奮闘したゲーム主将の林直孝(3年)は、「相手の圧力が強かったし、立ち上がりは緊張して動きが鈍かったが先制点でリズムが出ました」とニッコリ。正智深谷との準々決勝については「関東高校大会予選1回戦では0-4と完敗したので、夏以降に成長した姿を見せつけて勝ちたい」と意欲を示す。大木も「公立校で残ったのはうちだけ。誇りに思う。声を出し、体を張り、粘り強く戦う“ウラトン”魂で必ずリベンジします」と意気軒高だった。 (文・写真=河野正)