解雇規制見直し、産業界に賛否 人材の流動化期待、批判も強く
自民党総裁選の一部候補者が提起した解雇規制の見直しを巡り、産業界に賛否の声が出ている。成長分野に「人材の流動性を高める」必要性を強調する考えがある一方、「経営側の視点でしか語っていない」との強い批判の声も上がった。 火付け役は小泉進次郎元環境相だ。「労働市場改革の柱として解雇規制を見直す。関連法案を来年提出し、人材の流動化を促す」と表明した。 楽天グループの三木谷浩史会長兼社長は自身のX(旧ツイッター)に「成長分野にリソースをシフトしないと日本経済は発展しない」と書き込み、小泉氏の姿勢を評価した。素材メーカー首脳は「政策で解雇規制を緩めることには賛同しないが、成長領域への人材の流動性を高めるという論点は賛成だ」と語る。経団連の十倉雅和会長(住友化学会長)は「安定も大事だが新陳代謝も大事だ」との立場だ。 一方、化学大手の幹部は「小泉氏の発言は完全に経営側の視点でしか語っていない」と手厳しい。「地方の製造拠点に根付いた人材を小泉氏の言う論理で解雇できるのか。それはできない」と指摘した。