激闘王の八重樫が衝撃の1回TKO負けも「限界は感じていない」と引退否定
“激闘王”IBF世界ライトフライ級王者の八重樫東(34、大橋)が20日、有明コロシアムで、暫定王者のミラン・メリンド(29、フィリピン)に3度のダウンを奪われて1回2分45秒にTKO負け、3度目の防衛に失敗した。165秒決着は、世界戦のライトフライ級史上最短となる屈辱の記録となった。負け方が衝撃的だっただけに、年齢面やこれまでのダメージの蓄積を考え引退も考えられるが、八重樫は「限界は感じていない」と引退は否定した。 八重樫に関しては、3人いる同級の日本人世界王者への挑戦や、WBA世界フライ級王者、井岡一翔との再戦など、復帰の選択視は多くあるが、スーパーフライ級に上げて日本人初の4階級制覇を狙う可能性もある。何度も挫折から這い上がってきた八重樫は、十分に休養した後に、4度目の世界のベルトを狙うことになりそうだ。
伏線があった。 メリンドが放った左のボディアッパーが八重樫のミゾオチを襲う。 「最初は出入りの勝負するつもりだった」という八重樫の出足が、このボディ打ちで止まった。 メリンドは「ボディを攻めることが戦略のひとつだった」という。続く打ち合いの中で、左のフックをモロにテンプルに浴びて最初のダウン。効いていた。 「一回目のダウンで決まったようなもの。まだ動けるつもりでいたけれど動けていなかった」 陣営は、様子を見ながら回復を優先することを求めたが、八重樫の耳には届かない。激闘王の本能がそうさせたのだろう。立ち上がって、また攻めにいった。さらに左のアッパーをねじこまれて2度目のダウン。八重樫は、また立ち上がったが、左のジャブ、右のボディーから最後は飛び込んでくる右のストレートに顎を打ち抜かれた。倒れるようにダウンした八重樫は目がうつろ、もう肉体は操縦不能だった。 試合のこと覚えている? 「覚えていますが、左フックをもらったのはうろ覚え。自分の実力がなかったということ。相手は強いと思っていたので、集中しようとしたけれど、こんなに早く終わるとは思わなかった。相手は、完成度が高い。厳しい試合になるとは思っていましたが、予想通りというか、予想以上だった。力のなさが出た試合だった」 試合後、八重樫は、そう気丈に話した。試合が早く終わりすぎたせいか、皮肉にも、いつも腫れあがる顔は、綺麗なままだった。 一方、ベルトを統一したメリンドも「こんなに早く終わると思わなかったが、最初の左フックで膝に来ているのがわかった」と意外な結末に驚いていた。