【私立恵比寿中学】年齢差11歳。真山りかと仲村悠菜の寄り添う青春像/アルバム発売記念インタビュー
それぞれの年齢だからこそ歌える楽曲も
──新アルバム「indigo hour」には、高学年メンバーのユニット曲「Hello another world」、低学年メンバーのユニット曲「STAY POP」をそれぞれ収録するという初の試みも。私立恵比寿中学としてワンチームであると同時に、それぞれの個性をしっかり打ち出し、生かしていく方法が選択されていますね? 真山 これまでにもユニット曲はありましたが、こうして私立恵比寿中学名義で高学年メンバーと低学年メンバーのユニット曲を出すことは、けっこう挑戦だなと思いました。 でもすごく納得もしているんです。私たちの誰が歌っても説得力のある楽曲であろうとすると、年齢を抽象的にすることが多くなってしまう。楽曲を自分たちで書かないアイドルだからこそ、曲の一番の代弁者、語り部として歌いたいと思っているので。 そういう意味で「Hello another world」は、いろんなことを経験した20代の5人だからこそ歌える楽曲になっていると思います。今回のアルバムを手掛けたのは女性ディレクターなのですが、20代の女性である私たちが持つ悩みに寄り添うような楽曲を割り当てていただけたことがすごくうれしかったです。 仲村 アルバムの軸になっている「BLUE DIZZINESS」「CRYSTAL DROP」「TWINKLE WINK」の3部作は青春の切なさを表していますが、私たちが歌う「STAY POP」はもう、本当に明るさしかないポジティブな楽曲です。5人で歌えてすごく楽しかったです。 ただ、いつもユニゾンが揃っているお姉さんたちと違って、私たちはまだ自分たちの声をガンガン出してぶつかり合う感じの歌い方をしてしまうんです。「STAY POP」は5人だけの楽曲だけど、ちゃんと10人になったときにも経験を活かせるように、みんなでどうしたら揃って聞こえるか話し合って歌いました。
変化し続けていくことが“私立恵比寿中学らしさ”
──活動の中では、10人体制になる前の楽曲を今のメンバーで作り直す場面も多かったと思います。難しさや、やりがいは? 真山 私たちはこれまでもいろんなメンバー構成でやってきたので、その度にフォーメーションや歌割りを変更してきました。だからこそ作り直すことにまったく抵抗がないんです。いつも新しく私立恵比寿中学を作り直している感覚ですね。 去年は個人的に、「私たちらしさって?」とすごく悩んでいたけれど、よく考えたら「変化し続けることを悩みながら受け入れて進んでいく」ことこそが“私立恵比寿中学らしさ”だなって。メンバーはそのときどきで変わるけど、私立恵比寿中学という大きな校舎は変わらずにある、母校みたいなイメージ。まだ在校してるんですけど。(笑) 仲村 そうですね、やっぱり、もともとある楽曲をパフォーマンスするときはプレッシャーを感じます。ずっと応援してくださっているファンの方の中には、楽曲が発表された当時のパートが変わってしまうことへの悲しさもあると思うんです。もともとのよさをしっかり意識しながらも、自分らしさを出せるように頑張っています。 ──真山さんからアドバイスをすることは? 真山 「当時はこういう意図で作ってもらった曲だよ」とか「前の人はこう歌っていたよ」と伝えることはあります。でも、それを彼女たち自身が理解して、自分の中で正解を出してもらう感じですね。 仲村 「絶対にこれはしちゃだめ」と言われたことはなくて。背景を教えてもらい、そこから自分たちなりに考えてみる感じです。 ──「こうしてね」と言われた方が楽かもしれないのに、自分で正解を出すところが私立恵比寿中学のすごさであり、魅力のような気がします。 真山 私たちはこれまでも、いただいた楽曲をいっぱい読み解いて、いっぱい考えて歌ってきましたし、まだまだ正解はわかりません。低学年メンバーにも“彼女たちなりの私立恵比寿中学”を歩んでほしいんです。私立恵比寿中学はみんなのものではあるけれど、誰のものでもない。お互いが自分の中で正解を出していければと思います。 ──メンバーで話し合うことが増えたというエピソードもラジオやインタビューでよく話していますね。そういうときに仲村さんや同期の桜井えまさんも積極的に意見を出しているんでしょうか? 真山 それは、ないんです……(笑)。 仲村 めっちゃ考えてはいるんですけど(笑)、私もえまも、みんなの意見に「そうだ」って納得しちゃうんです。ココユノノカちゃんはしっかり意見を言っています。(ココユノノカは仲村さんの1年先輩である桜木心菜さん、小久保柚乃さん、風見和香さんの相性) 真山 うん、ひるまずに出してくれる。エマユナも、待ってます(笑)。 仲村 加入した当時は高学年メンバーと低学年メンバーが5:5で分かれている感覚があったんです。でも今はその分かれ目がなくなって、バラバラに、1対1で話せるようになった気がします。例えば美怜ちゃん(星名美怜)と柚乃ちゃん、心菜ちゃんがよく一緒にいたり、彩ちゃん(安本彩花)とえまが話していたり。1年通して高学年メンバーが私たちのことを考えて寄り添ってくれたからだと思っています。 真山 それこそかほりこ(小林歌穂、中山莉子)はエマユナと似ていて、周りの意見に納得するタイプだったけど、最近は彼女たちから思ったことを伝えてくれるようになったんです。私立恵比寿中学であるために、それぞれの立ち位置を一生懸命考えてくれている感じがするし、今まで口に出せなかったことを言いやすい環境になったのかなと思うと、すごくうれしいですね。