「大学に合格できなくても、あなたのせいではないよ」 人気スタイリストから娘へ、一通の手紙
アドバイスは「鳥の目」で
――半年の受験勉強期間は短いですが、大草さんはどのようなサポートをしたのでしょうか。 受験を乗り切るための作戦を考えました。今の大学受験は制度が複雑なので、作戦を立てることがとても重要です。私はこの作戦を立てることこそが、親が大学受験に関われる唯一の部分じゃないかと思っているんです。 まずは、息子の強みである英語力を最大限に生かせるよう、夏にアメリカから帰国してすぐに英検を受験するように促して、準1級を取得しました。彼は私立文系志望だったので、英検準1級があれば英語の試験が免除になったり、加点されたり、いろいろ有利だったんです。 ――それは大きなアドバンテージですね。ほかに立てた作戦はありましたか。 今は文系学部といっても、社会科学部、文化構想学部、コミュニケーション学部……と、私たち親世代のときにはなかった学部がたくさんあって、わかりにくいですよね。そこで、学部選びは知識が豊富なプロの力を借りたほうがいいと思い、長女のときもお世話になったプロの受験カウンセラーにお願いして、息子と面談してもらいました。これは大正解だったと思います。息子の性格を踏まえたうえで、どんな人生にしたいのか、何をやりたいのかを話し合って、「将来は英語力を生かして、海外とつながりのある仕事に就きたい」という息子の希望から逆算。授業内容や留学制度、海外の提携校なども比較したうえで決めました。 ――大草さんはどんなアドバイスをしたのでしょうか。 学部の授業内容について、私の知っている情報を伝えたり、話し合ったりはしました。ただし、「この学部を受験しなさい」という言い方はせず、一緒にいろいろな情報を比較検討しながら、「どっちのほうが希望に近い?」と聞く感じでした。 受験には、物事を近距離から見る「虫の目」と、俯瞰して全体を見渡す「鳥の目」が必要で、親に求められるのは「鳥の目」のほうだと思います。鳥の目は経験を積み重ねた大人だからこそ持てる視点です。ですからスイッチを入れる時期とか、入試の方式とか、ところどころ鳥の目が必要な場面ではアドバイスしましたが、勉強のスケジュール管理など、虫の目で見たほうがうまくいくことには極力タッチせず、本人を信じて任せました。