輸入米の引き合い強まる 国産に需要減少の懸念も
国産米の価格が上昇する中、割安な輸入米の引き合いが強まっている。主食用となる輸入米の2024年度入札では全量落札となる回が続いており、大手米卸は「家庭用や業務用を問わず輸入米を求める業者が増えた」と明かす。既に一部の量販店や外食では輸入米の活用が進んでおり、これから流通が本格化する国産米の需要を減少させる懸念がある。 主食用となる輸入米を扱う売買同時契約(SBS)入札は、主に秋から翌年の春にかけて農水省が開く。年間枠は最大で10万トン強。落札が進むほど、国産米の需要が減少する形だ。 2024年度のSBS入札の各回では、上場した数量全量の落札が続いている。既に、輸入量の多い米国産を中心に3万トン近くが落札した。近年では比較的多くの落札量があった23年度の同時期と比べて7倍に上る。国産米の価格が一定に上昇する中、「今年度は年間枠が全て埋まる」との見方が出ている。 少しでも安価な原料米を求める業者が、輸入米の調達を進めている。家庭向けでは、ディスカウントストアなど値頃感を売りにする業態を中心に輸入米の販売が広がる。外食では、丼物チェーンなどで輸入米をブレンドする動きが出ている。同卸は、「国産米の確保が難しくなっていることも要因」とみる。 輸入量の多い米国産うるち精米中粒種の直近の落札価格は1キロ約318円。引き合いが強まったことを受けて、前年から70~100円程度上昇した。それでも、「国産の新米価格よりは割安に映る」(別の米卸)。 24年産の国産米を巡っては、業務用に仕向けられることの多い銘柄で価格の上昇幅が大きく、値頃な米が少ない状況だ。「外国産米を使わざるを得ない状況になるかもしれない」(大手中食メーカー)とした懸念がある。
日本農業新聞